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日本舞踊のクラウドファンディングを成功させるには?【実体験をもとに】

日本舞踊のクラウドファンディングを成功させるには?【実体験をもとに】

これから日本舞踊の世界でもクラウドファンディングが増えてくると思います。

私自身、去年クラウドファンディングで「日本舞踊のぬりえ」の制作費用、約42万円を集めた経験から、クラウドファンディングについてまとめました。クラウドファンディングとは、3つのパターン、プロジェクトを作るときには何に気をつけたらいいか、など実体験をもとにまとめました。

目次です。

・クラウドファンディングとは?
・1.「寄付型」=インターネットを使って寄付を募る
・2.「販売型」=インターネットを使って商品やサービスを販売する
・3.「寄付型+販売型」の組み合わせ
・「上乗せ支援」という気持ちをお金に変える画期的な仕組み
・プロジェクトを作るときの注意点を見ていきます
・「寄付する理由とお金の使い道をきちんを伝えよう」寄付型のプロジェクトを作るときの注意点
・「商品の価値を伝えよう」販売型のプロジェクトを作る時の注意点
・「寄付型+販売型」の組み合わせプロジェクトを作る時の注意点
・日本舞踊公演の費用をクラウドファンディングで集めるときのポイント
・公演費用を集める
・寄付の上乗せを織り込んだリターン設定はあり?なし?
・寄付する必要性を理解してもらうためにも費用(お金の使い道)はなるべく公開したほうがいい
・クラウドファンディングを成功させる近道は?
・プロジェクト開始前に支援者に頼んでおくことが重要
・プロジェクトの達成をイメージして、一緒にがんばりましょう

クラウドファンディングとは?

インターネット(クラウド)を通じてお金を集める(ファンディング)することです。

お金を集めるというとイメージが湧きにくいと思いますが、実態としては

1.「寄付型」=インターネットを使って寄付を募る
→社会的に意義があること、純粋に応援したいことに対してお金を支援する

2.「販売型」=インターネットを使って商品やサービスを販売する
→商品やサービスを受けるためにお金を払う

3.「寄付型+販売型」の組み合わせ

ほとんどがこの3つのどれかに当てはまります。クラファンではプロジェクトにお金を払うことを「支援」といいますが、この言葉に引っ張られると、特に2.の「販売型」の実態が見えにくくなりますので注意してください。

そして、クラファンの画期的なところは、3の「寄付型+販売型」のミックスを生み出したことです。

具体的に見ていきます。

1.「寄付型」=インターネットを使って寄付を募る

こちらをご覧ください。1.寄付型のパターンです。

災害支援金をクラウドファンディングによって集めています。

クラファンでは支援したお金に対して「リターン(返礼品)」があります。「1.寄付型」パターンではこのプロジェクトのようにお礼のメールや、支援がどのように使われたかの報告などがリターンになります。これは「リターン」という名前ですが、払ったお金の対価ではないですよね。寄付なのでそれも当然です。

2.「販売型」=インターネットを使って商品やサービスを販売する

次に、2.販売型の例を見てみましょう。

京扇子の新商品のクラウドファンディングです。

このようにクラウドファンディングによって集めたお金で商品を作り、販売するのが販売型です。

買い手側からすると「完成前に事前予約する」ようなものです。まだ世に出ていない商品をいち早く手に取ることができるというメリットがあります。

売り手側からすると「商品の前売り」です。商品を作る前にネット販売して、開発資金や製作資金を集められるというメリットがあります。

またクラウドファンディングには「目標金額に達したら実行する(All-in方式)」ものと「目標金額に達しなければ実行せずに支援金は返金する(All-or-Nothing方式)」ものがあります。

新商品の開発などには「All-or-Nothing方式」を選ぶことで、不人気な商品を作ってしまって在庫が残ってしまう、というリスクも避けることができます。つまり「市場調査」のような形で使うこともできるということです。

パナソニックなど大企業もクラウドファンディングを使って商品開発・販売を行うようになってきています。

3.「寄付型+販売型」の組み合わせ

最後は「寄付型+販売型」の組み合わせパターンです。

私のプロジェクトで恐縮ですが、2020年に「日本舞踊のぬりえ」を作ったときのものです。制作費の約42万円をクラウドファンディングで集めました(ご支援いただいたみなさま、ありがとうございました)。

こちらのリターンを見てください。

支援額に応じて完成品のぬりえをリターン品として送る、となっています。これは「販売型」のリターンです(ぬりえの定価は1,000円です)。

そして、リターンの中に「ご支援のみ」というものがあります。

これは「寄付型」のリターンです。つまり「ぬりえ(商品、サービス)はいらないけど、応援したいからお金は支援するよ」という方向けの選択肢です。

ちなみに、リターンを選択した際には、「追加で支援する」という選択もあり「ぬりえ5冊で5,000円だけど、上乗せで2,000円支援します」というようなこともできます。

これらはまさに3.「寄付型+販売型」の組み合わせです。

これができる点がクラファンの画期的な点です。

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「上乗せ支援」という気持ちをお金に変える画期的な仕組み

通常の、お客様は商品価格以上にお金を払うことはできません。例えば応援しているアーティストのライブに行って「応援したい気持ちがあふれているから、チケット代は5,000円だけど10,000円払おう」と思っても、それはできないですよね。

一方で、クラファンではプロジェクトを応援したい気持ちが大きい人は、その気持ちに応じて上乗せで支援ができます。

災害支援のような純粋な寄付の場合はもちろん、販売型でもそれができるのです。

「商品を買うとき上乗せで払いたい人なんかいる?」と思われるかもしれませんが、商品販売でも、それが社会的課題を解決するものだったり、自分が厚く信用している人や会社には、応援や感謝、信頼などの気持ちから上乗せで支援をする人も多くいます。

「クラウドファンディングは信用を換金する仕組み」といった人がいますが、これはまさに「言いえて妙」です。プロジェクトの発案者が支援者(買い手)に対して信用を積み重ねていれば、商品を介そうがそうでなかろうが、支援が発生するのです。

プロジェクトを作るときの注意点を見ていきます

「寄付する理由とお金の使い道をきちんを伝えよう」寄付型のプロジェクトを作るときの注意点

ここからはプロジェクトをつくるときの注意点を見ていきます。まず寄付型です。寄付は純粋にお金だけをいただくものです。

そのときに重要なのは「寄付する理由」「お金の使い道の説明」です。なんのためにお金が必要なのか、いただいたお金は何に使うのか。言葉を尽くして説明すること、可能な限り透明化することが、支援につながります。

他人の共感を得られないプロジェクト、他人からお金を集める理由がないプロジェクト、集めた支援を何に使うのかわからないプロジェクトは、うまくいかないでしょう。

また、リターン品を付ける場合は必要最低限でかまわないと思います。例えば災害支援の場合、寄付する側としては、1円でも多くのお金を災害復旧や被災者支援に回してほしいと思っているはずです。

寄付型の場合はなにか価値あるものを返すのではなく、プロジェクトそのものに多くの資金を使ったほうが、ベターだと思います。

一方、マナーとしてのお礼のメールや、支援金を使った活動の最低限の報告などはあってしかるべきかと思います。

「商品の価値を伝えよう」販売型のプロジェクトを作る時の注意点

販売型のプロジェクトを作る場合の注意点は「寄付型」とごっちゃにしないことです。あくまでも支援してもらう金額は商品価格ととらえ、商品に見合った支援額を設定することです。

商品を開発した理由、商品の価値、金額の妥当性がしっかり伝わるようにテキストや写真、動画で説明しましょう。

クラウドファンディングサイトには「活動報告」などの、ブログ機能のようなものがついており、これを使ってプロジェクトのページだけでは語りつくせない商品開発の経緯や開発過程を報告することも有効です。

「寄付型+販売型」の組み合わせプロジェクトを作る時の注意点

日本舞踊関係でクラウドファンディングを行う場合、おそらくこのパターンがもっとも多いのではないかと思います。「寄付型+販売型」の組み合わせプロジェクトの注意点です。

「寄付型」「販売型」の注意点ですので、気を付けることも両方の注意点の足し算になります。

一言でいうと、「支援することの意味をしっかり伝えつつ、リターン品の価値もしっかりアピールする」というようなことになりますでしょうか。

次で具体的に説明します。

日本舞踊公演の費用をクラウドファンディングで集めるときのポイント

日本舞踊で想定されるのは「公演費用をクラウドファンディングによって集める」ことです。これまでのポイントや注意点を踏まえて、具体的に考えてみましょう。

公演費用を集める

コロナ禍でこのタイプのクラウドファンディングを検討された方も多いのではないでしょうか。

プロジェクトのパターンとしては「寄付型+販売型」の組み合わせプロジェクトになることが多いかと思います。

公演のチケットを販売しつつ、公演に来れないけど応援してくださる方からの支援も受けられるようにするイメージです。

ここで注意するのが、リターンの作り方です。

寄付の上乗せを織り込んだリターン設定はあり?なし?

クラウドファンディングの支援額のメインを「チケットのネット販売」と考えると「支援額=チケット代、リターンはチケット」という支援枠を用意することになります。

チケット代が3,000円なら、

支援額3,000円。リターンは3,000円のチケット1枚

一方で、もう少し余分に支援してほしいと考えるのも人情です。そこでこういうリターンを設定するのをたまに見かけます(例は架空のものです)。

支援額6,000円=リターンは3,000円のチケット1枚+オリジナル手ぬぐい

おそらく、寄付分3,000円を販売側が上乗せして、それだけだと申し訳ないので手ぬぐいを付けた、ということなのでしょう。

みなさんはどう思われますか?

個人的には「ちょっと微妙」だと思っています。

理由は、チケットが欲しい人にも、寄付したい人にもデメリットがあるからです。

まず純粋にチケットを買いたい人は3,000円で買いたいわけです。高く買う理由がないのでこの支援は選びにくいです。

また純粋に寄付したいと考える人は、寄付分の3,000円をなるべく公演に役立ててほしいと考えているのですから「手ぬぐいはいらないからその分、公演費用にあててくれ」と思います。

ですので、

・支援額3,000円=リターンは3,000円のチケット1枚
・支援額3,000円=リターンはなし(お礼のメールなど、原価がゼロかごく小さいもの)

というふうに二つに分けるのが支援者の立場に立った設計になるのではないでしょうか。

どうしても寄付を上乗せした支援(一つの支援の中に販売と寄付が含まれていてわけられないもの)を作りたいのであれば、それなりの理由をきちんと説明する必要があります。

例えば、公演を行うことの社会的意義、文化的意義などを丁寧に説明するイメージです。

逆にいうと、うまくその理由が伝えられなかった場合は、チケット販売・寄付の両方が得られなくなるリスクがあることを留意する必要があるでしょう。

寄付する必要性を理解してもらうためにも費用(お金の使い道)はなるべく公開したほうがいい

寄付を募るときのポイントですが、必要な費用(お金の使い道)は内訳も含めてなるべく公開したほうがいいと思います。

もしあなたの友達がお金を借りにきて、

「理由とか内訳は言えないけど、とにかく5万円貸してくれ」と言われるのと、5万円が必要な理由と納得できるお金の使い道を説明してくれた上で貸してくれ、と頼まれるのではまったく違うと思います。後者の方が貸してあげる確率は高いですよね。

寄付してもらうためには、寄付をお願いする人に寄付する理由と使い道を説明することです。

・寄付することにはこういう意味があるんだ
・寄付したお金はこういうことに使われるんだ

と納得すれば気持ちよく寄付してくれる人は必ずあわられるでしょう。しかし、意味を感じない、何に使われるかもわからないものには、人は寄付しにくいものです。

クラウドファンディングを成功させる近道は?

プロジェクト開始前に支援者に頼んでおくことが重要

「クラウドファンディングをすればどこからともなく支援者が現れて、お金が集まる」と、クラウドファンディングを打ち出の小槌のように考える人がいますが、これは大きな間違いです。

これまで見てきたように、クラウドファンディングは「寄付」や「販売」です。いただくお金に見合った「理由」や、「価値」を提供できなければお金は集まりません。

そうすると支援してくれる もっとも有力な候補者は、あなたの身近な人たち、あなたのことを理解して「この人なら信用できる」「きちんとしたお金の使い方をしてくれる」と考えてくれている人たちであることに気づきます。

こうした人たちに事前に支援をお願いすることがなによりクラウドファンディング達成の近道です。

泥臭いようですが、この手間を厭うと達成は難しいでしょう。

実際に「日本舞踊のぬりえ」のクラウドファンディングを行ったとき、支援額の約85%はすでに面識があって、あるていどの信用があった方たちでした。

もちろん非常に画期的で価値の高い商品を売る、誰から見ても社会的意義がとても高いプロジェクトは、見知らぬ人からもたくさんの支援が集まる場合もあります。

しかし多くのプロジェクトはそうではありません。身近な人へしっかりとプロジェクトの意義を説明して支援を依頼することが、回り道のようで達成への一番の近道となります。

プロジェクトの達成をイメージして、一緒にがんばりましょう

私もこれからも「日本舞踊のぬりえ」のような、日本舞踊にまつわる商品やサービスを作っていきたいと思っています。

クラウドファンディングを利用することも出てくると思います。そのときに問われるのは私個人の信用であり、プロジェクトの意義や価値です。

ここまで偉そうに説明してきた私自身も、それを示せなければプロジェクトは成功できません。

クラウドファンディングを行うことは、想像以上に手間もプレッシャーもかかることですが、プロジェクトが成立したときには支援してくださった方へ感謝の気持ちが生まれ、大きな達成感を感じることができます。

これからクラウドファンディングを行う方は、ぜひその達成をイメージしながら、がんばってください!私もがんばります。

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