子供と相性の良い日本舞踊教室を選ぶ4つのポイント【家元として親として本音で語ります】

子供と相性の良い日本舞踊教室を選ぶ4つのポイント【家元として親として本音で語ります】

こんにちは。千葉県市川市で日本舞踊教室を開いております、千翠珠煌(せんすいたまき)です。

「子供を日本舞踊教室に通わせたいけど、どんな教室がいいのかわからない」
そうお悩みの親御様へ、日本舞踊の家元として、そして一人の母親として、教室選びの最も大切なポイントについてお話ししたいと思います。

教室選びのポイントは、

  • 金額、つまり習い事に使える予算や、
  • アクセス、無理なく通える

などいくつかありますが、もっとも大切なことは

  • 教室の先生との相性

これが1番大切です。相性が良い先生と巡り合えば、子供が楽しみながら大きく上達・成長できます。一方で、相性が合わないところへ無理して通わせると、成長・上達がはかどらないばかりか、子供も辛い思いでイヤイヤ習い事を続けることになりかねません。

ではどうやって子供と相性のいい先生を選べばいいでしょうか。そのポイントは4つあります。

  1. 子供が緊張せず素直になれる
  2. 子供の個性を柔軟に受け入れ、良いところを引き出してくれる
  3. 子供によって違う成長の階段を用意してくれる
  4. 子供の心に響く言葉を選んで教えてくれる

順番に解説していきます。

子供が緊張せず素直になれる

日舞は和の所作事として、着物を着て、正座してご挨拶して等禁欲的なイメージがあって、それを期待される方も多いと思います。

もちろん礼儀作法は大切ですが、日舞は本来 体を動かし表現するもので、緊張して無表情になっては意味がありません。
子供は純粋な分、好き嫌いがはっきり出て、気に入らない人に言われると硬直して素直に動くことができません。
大人でも気の合わない人との交流は難しいですね。子供も同じです。これは先生の優劣ではなく、相性の問題なのです。

人見知りな子と信頼関係を築いた例

私の稽古場に初めて来た5歳の女の子は、人見知りの強い子供でした。それでも初対面の私が声をかけると恥ずかしがりつつ頷いてくれるので、まずは大丈夫と思いました。
その子は、外遊びよりも絵本を読むのが好きな子供でした。

絵本好きな子に合わせて声かけを行った

そこで、この曲の主人公のお話しや、気持ちを伝えながらお稽古をしました。

「お外に遊びに行こう!」「あ!雨が降ってきた!」

だんだん彼女の顔がほころんできたので、

「こっち行ってポン!」「あっち行ってパ!」

と声をかけると走って追いかけてくるようになりました。次の歌詞に「お風邪を引いたお人形は」と聞こえると、

「お人形さん、お風邪ひいちゃったの?」

と私に声をかけてくれるまでに。
子供から話してくれるような信頼関係を築ければ、お稽古は十分有益なものになります。

子供の想像力(感性)を伸ばし、良いところを引き出してくれる

日‌舞‌に‌も‌基‌本‌の‌型、‌所‌作‌と‌いっ‌た‌も‌の‌が‌あ‌り、‌そ‌れ‌が‌表‌現‌に‌つ‌な‌が‌る‌ツー‌ル‌に‌な‌り‌ま‌す。‌ ‌
し‌か‌し‌型‌や‌所‌作‌等‌は‌教‌え‌ら‌れ‌て‌も、‌それを使って表現するための「想‌像‌力‌(感‌性)‌」と‌言‌わ‌れ‌る‌も‌の‌を‌教‌え‌る‌の‌は‌と‌て‌も‌難‌し‌い‌の‌で‌す。‌ ‌

「楽しい」「嬉しい」「悲しい」「驚いた」等、感情豊かな子供時代にせっかく踊りを始めるのです。その感覚を上手に育てたいではありませんか。
感性が育てば、技術はあとからついてきます。感情に裏打ちされた確かな技術が。

感性や想像力を育てる方法はいくつかありますが、例えば代表的なものに「ごっこ遊び」があります。
日本舞踊のお稽古でも、何も無い舞台で、「お月様見てるの」とか、「蝶々になって空を飛んでいくよ」とか「大きな狐!」と言いながら大きくポーズをとると、子供はごっご遊びのように、真似しながら自分なりに想像力を働かせて、背伸びして大きく見せようとします。

本来学ぶことは、「学ぶ=まねる」ことから始まります。
子供が一見突拍子もない動きをしたとしても 基本彼らはまねをしているのです。その中にも彼らなりの感性・想像力が現れます。

そうした子供の感性・想像力を受け止めて肯定し、良いところを引き出してあげられるのが良い先生だと思います。

つまり大人は「こう受け取っているのだ」と理解を示し、「じゃあもっとこうしてみよう」と導いていくと子供はもっと頑張ります。肯定してその先を導く。これはすべての学びに通じることではないでしょうか。

もちろん、その分、先生にも演技力が必要です。先生は、いつも本気で踊らなければなりません。

子供によって違う成長の階段を用意してくれる

叱られて委縮してしまう子もいれば、逆に奮起して頑張れる子もいます。それはその子の個性です。
このような個性の違う子供がいた場合、先生としては、それぞれ別の対応の仕方が必要です。子供の個性を無視して対応を間違えれば、子供はお稽古がつらくなり、続けられません。
良い先生は子供の個性を見抜き、それぞれに合った指導の仕方、成長の階段を用意してくれます。

良さを引き出すきっかけをうまく与えられて、表現が大きく伸びた例

小学1年生の子に「さくらさくら」を教えた時のことはとても印象的でした。
いつも楽しそうに踊る子供だったのに、あまりいい顔をしていないのです。日本人なら誰でも知っている曲なので、あまり説明めいたことは話していませんでした。
しかし、子供にとってちょっと歌詞が難しかった上、振りがシンプルで振りから内容を推測することもできなかったようなのです。
そこで、「これはね、お空いっぱいに桜の花が咲いていてね、雪みたいにいーっぱい花びらが降ってきてね、その下で踊っているのよ!」と言いました。すると「うわ~!」っと顔を輝かせ、上を見上げてにこにこ踊りだしたのです。
この子の場合、技術的にはかなりの水準ではありましたが、表現力にもポテンシャルを持っている子で、そういう場合は技術的にできていればよしではなく、表現の面も伸ばしてあげなければなりません。
一見、表現するのがあまり得意そうではない子も、文字通り表に出せないだけの場合がほとんどなので、気持ちをのせられるようにオーバーにやってみせて少しずつ表情をほぐしていくことが上達する方法の一つです。

できることより「少し難しい」がポイント

また、技術をあげていく為の方法としては、その子供のできることよりも少し難しいことを踊りに入れていくことが大切です。
この「少し」というのがなかなか難しいところです。
できるようになる年齢に、個人で差があるからです。
できれば、何回か練習すればできるようになる程度の振り(技術)が、望ましいです。

できそう、の段階までくれば「次回もう一回ね」というのもありですが、あまりにおもりになるようなら「じゃあもっとこうしてみよう」と振りを柔軟に変えられる教え方ができるといいのではと思います。

厳しすぎるのも考えもの

もうひとつ問題なのは、様々な先生を拝見してきて思うことですが、先生が強すぎると黙って従う子供になってしまう、ということです。
よく言われる指示待ち状態です。

「うちは厳しく教えます」と先生から言われると、和事のイメージからそういうものだと思ってしまうかもしれません。

もちろん最低限守らなければならないことはあるわけで、それは小さい子供でも学ぶ価値はありますが、厳しくても、画一的ではなく、子供の成長に合わせて教えてくれる先生を選ぶべきだと思います。

逆に、親目線からすれば「もっと、ちゃんと教えてほしい、完璧にできるまで」と歯がゆくなることもあるかもしれませんが、年齢によって、個人によって違う成長の階段を上手にあわせていければ、子供を大きく成長させることができます。

教え方が合わなくて辛い思いをした、私の実体験

私自身の体験をお話しします。

私は同じ流派の2人の師に学びました。
1人目は入門から10年間、その師が亡くなるまで教わりましたが、踊りを見せてくれる以外は何も言わない先生でした。曲をかけて3回くらいサッと一緒に踊って「ハイ、(一人で)踊ってみて」という具合です。でも、その教え方が私にはとてもよく合っていました。何とか同じように踊りたい、と日舞に没頭するようになり、毎日夢中で充実した日々でした。

2人目の師匠はとても熱心な方でした。しかし、この師の教え方は私には合っていませんでした。
その方はまず、音楽(踊る曲)を一切流さず、動きをすべて言葉で説明されました。どんな雰囲気の曲とか、どういう気持ちでとかまるで分らず、動きを丸暗記したあとで初めて曲を聞かせてもらえるのです。
動きだけを覚えた後で曲に合わせていき、最後に表現という気の遠くなる作業に、とても日舞をやっている楽しさを感じることができませんでした。動きを矯正されてしまい、自分の気持ちが入る余地がないと感じてしまったからです。

ただ、この教え方も、人によっては合うという人もいると思います。

つまり、正しい教え方があるのではなく、それぞれの子供に合った指導が受けられるかどうか、ということが大事なのです。

子供の心に響く言葉を選んで教えてくれる

大人もそうですが、子供はその性格、考え方が動きにより素直に現れます。
それをよく観察して、その子の心に響く最適な言葉が選べれば、素晴らしい学びの場になるでしょう。
例えば、身体を動かすことより歌詞などに興味がいく子供は、イマジネーションが発達しているので「もっと手を上げて」「もっと足を上げて」と言うより、「もっと楽しいの!」「もっとびっくり!」等と声をかけた方が、本人は楽しく動くことができます。
リズム感のある子供だったら、音楽さえかければ体を動かすので、「こっちにトントントン」「あっちにバッタン」などリズミカルに擬音を使うといいですね。

まとめ

子供が緊張せず素直になれる
子供の個性を柔軟に受け入れ、良いところを引き出してくれる
子供によって違う成長の階段を上手に用意してくれる
子供の心に響く言葉を選んで教えてくれる

まとめると、子供が何に興味を持って楽しいと感じるかをよく観察して子供が楽しいと思うことに先生がつきあってくれる=相性のいい先生を選ぶことが、1番のポイントなのです。
流派によっても違いますが、先生によっても教え方も雰囲気も様々です。
できれば体験教室は2か所は訪れてじっくりとご検討されますよう、お勧めします。
そして、必ずお子さん本人にお尋ねください。

「今日は楽しかった?」

この記事を書いた人:

13歳より、倉田保昭のアクションクラブで殺陣、現代アクション、空手アクションなどを学び、スーツアクターとして活躍。その後日本舞踊の世界へ入り、師範取得。国立劇場など舞台経験多数。 古典にとらわれずクラシックや現代音楽での振付作品、公演も多い。近年では海外公演(マレーシア)、デザインフェスタ出演、ライブハウス公演などさらに活動の幅を広げている。東京表現高等学院MIICA日本舞踊講師。

千翠珠煌(せんすいたまき)日本舞踊教室(千葉県市川市)

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