【取材】タカラジェンヌだった私が日本舞踊を生きる使命と決めた理由~ 白鳥佑佳・文京区護国寺・日本舞踊教室『薫乃会』~

【取材】タカラジェンヌだった私が日本舞踊を生きる使命と決めた理由~ 白鳥佑佳・文京区護国寺・日本舞踊教室『薫乃会』~

護国寺に日本舞踊教室を構え、講師としても活動されている「白鳥佑佳(しらとりゆうか)」さんにお話を伺いました。元タカラジェンヌという経歴を持ちながら、現在は自らの原点である日本舞踊に戻り、日本文化を伝える活動をされている白鳥先生。その理由に迫りました。

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白鳥佑佳(しらとりゆうか)略歴

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花柳流師範
3歳より日本舞踊をはじめる
宝塚音楽学校首席入学
宝塚歌劇団花組所属。宝塚大劇場、新宿コマ劇場など大舞台を多数経験
退団後はダンス講師や子供のためのダンスプログラム開発、子供ミュージカルのプロデュース、ファッションショーの演出、国内外での公演など多方面で活躍
日本舞踊教室「薫乃会」主宰
東久邇宮文化褒賞受賞

令和元年、「白鳥佑佳」として活動開始

-最初にですが、白鳥先生は長らく「花柳廸薫(はなやぎみちかおる)」というお名前で活動してこられましたが、今年「白鳥佑佳(しらとりゆうか)」に改名されました。
(白鳥佑佳、以下、白鳥)はい、これからも日本舞踊や、日本の文化を伝えていく、という活動は大きく変わりませんが、新しい名前「白鳥佑佳」として活動していきます。
「花柳」という大看板があるとどうしても、相手に「古典日本舞踊」イメージを先行させてしまうところがあります。私自身これからも古典舞踊をライフワークにしていく姿勢に変わりはありませんが、「古典」「舞踊」というイメージの垣根がないところからの活動も含めて行っていきたい、という気持ち、また自分の使命をより全うしていきやすくする為に、改名を決意しました。

-どのような意味が込められていますか?

(白鳥)「白鳥」は、白木の鳥居、神の門です。「天命に沿って生きる」という意味です。「佑」は「神様に助けられる」という意味があり、「佳」は「心身ともに調っている状態」を表しています。あとでお話しますが、日本舞踊も「心と体を調える」ものだと思いますので、とてもぴったりの名前になることができたと思っております。

日本舞踊を始めたきっかけ

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-日本舞踊を始めたきっかけは何ですか?
(白鳥)私がまだ3歳のころです。結婚前に日本舞踊を教えていた母が、私を踊りの新年会に連れて行ってくれたことがきっかけです。新年会は、門下生が集まり、座敷のあるお料理屋さんで、踊りや会食やゲームを楽しむといった会です。その時、ほかの皆さんが踊るのを見ていた私は、「私も踊る!」と言いだして聞かず、母をたいそう困らせたそうです。それから間もなく、母とお稽古場へ通うことになり、私と日本舞踊とのお付き合いが始まりました。
初めて習った曲は「紙人形」という曲でした。

-日本舞踊のどんなところに惹きつけられましたか?
(白鳥)「紙人形」で、曲に歌詞が付き、そこに付随する動きに意味があることを知ったことで、あっという間に踊りに夢中になりました。ほかにも、おとなたちに混じって踊るお稽古の時間も楽しかったですし、舞踊会で「きれいね、上手ね」と褒められる快感も覚えるようになりました。しかし何より、たまらなく好きだったのは、舞台の後に感じる「やり遂げた後の満足感」です。
びんつけ油やお化粧の匂い、楽屋の空気、そして舞台で踊る時のぴりっと引き締まった気持ちと、終わったあとの解放感。この落差がたまらなく好きでした。

宝塚音楽学校首席合格の「異端児」

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-宝塚音楽学校を経て、宝塚歌劇団へ入団されたと伺いました。
(白鳥)私が宝塚音楽学校を目指した理由はちょっと変わっています。普通は、ご贔屓のスターさんに憧れて、自分も憧れの人のようになりたい、といって入学する人が多いのですが、私の場合は宝塚に入ればいろんな芸能が学べるから、というのが理由でした。
もともと音楽が好きだった私は音楽大学のピアノ科に進みたかったのですが、手が小さいからプロは難しいと音楽の先生に言われ、音大は諦めざるをえませんでした。そこに、「宝塚を受けてみない?あそこならあなたが好きな音楽や日本舞踊も生かせるし、ほかにもいろいろな踊りや芝居が学べるよ」と両親が宝塚音楽学校の受検を進めてくれたんです。
「好きな芸事ができて、さらにそれが仕事につながるならいいかもしれない」と思って受験したところ、なんと首席で合格してしましました。
前述のように、スターに憧れて、という人の中に、ただ踊りや芝居が学べるから、という理由で入学した私は、他の同期生と比べて温度差があり、異端児として見られていたと思います。

ただがむしゃらに、一途に走り抜けた宝塚歌劇団時代の6年間

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-宝塚歌劇団ではどんな活動をされていましたか?
(白鳥)宝塚音楽学校卒業後、宝塚歌劇団に入団したのが昭和49年です。作家の藤本義一氏からいただいた「瞳 真理」の芸名で、宝塚大劇場「風と共に去りぬ」で初舞台を踏みました。初舞台公演初日口上を務めたとき、さざ波のように湧き上がった3,000人の観客の拍手は忘れられません。「これまでのすべてが報われた」と感じた瞬間でした。
宝塚時代の私は、洋の東西を問わず、様々な芸事を学びました。オペラアリア、イタリア歌曲、日本歌曲、シャンソン、カンツォーネ、などの声楽、ピアノ、琴、三味線といった器楽、藤間流、地唄舞などの日本舞踊、クラシックバレエ、モダンダンス、ジャズダンス、フラメンコ、タップダンスなど。あらゆるジャンルの芸能、音楽、舞踊を体験しました。他にもテレビの仕事、モデルの仕事、ナレーションの仕事など幅広く体験するチャンスにも恵まれました。

宝塚退団後は自立への模索の時期

(白鳥)全力疾走を続けてきた私なので、宝塚退団後は1年ほど燃え尽き症候群のようになっていましたが、根っからの芸事好きですので、地元のダンススクールで子供たちのために「ミュージカル・エクササイズ」を考案し教え始めました。脚本・演出・作詞作曲・演奏までやれることは全部やって、その子供たちのためにミュージカル公演を行ったり、縁あって頂いた仕事でファッションショーのディレクターをやったりと次々に新しいことにチャレンジする機会に恵まれました。

「日本舞踊で生きていく」決めた理由はシンプル

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-日本舞踊を軸にしようと思った理由はなんですか?
(白鳥)理由はシンプルで、私が日本人だからです。世界の芸事を学び、退団後の試行錯誤の日々を続けてきて単純な真理にたどり着いたんです。「自分の国の文化を大事にしていくのが一番自然な姿」だと。
宝塚時代には本場ブロードウェイの空気に触れる機会もありました。オペラにしろバレエにしろ、本場の人間が本気で勝負してきたら、はっきり言って日本人の出る幕はありません。しかしそれは、逆もしかりです。多種多様な芸事を学んだからこそ、結果的に私は、私の原点である日本舞踊に戻ってくることになったと思います。
平成4年以降、私の中で日本舞踊との本格的な取り組みが始まりました。花柳流で名取、師範を取得し、レクチャーとパフォーマンスを中心とした舞踊活動、国内外の文化交流、日本舞踊を楽しく幅広く知っていただくための新しいスタイルの講座、舞台、テレビ、イベントなど様々な活動を行ってきました。

日本舞踊の良さとは?

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- 白鳥先生にとって、日本舞踊の良さとはなんですか?

感性が磨かれ、自分の人生が変わる

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(白鳥)一言でいうと、「自分の人生が変わる」ということだと思います。日本舞踊は宝塚のように、何千人の大舞台で「相手に自分を見せる」ものではなくて、「演目の世界を表現すること」です。見てもらって、その先の情景を、見た人自らに感じ取ってもらうことなんです。そのためには自分の感性を磨かなければなりません。
日本舞踊は身体ひとつで表現しますから、その場にないものも想像させるような、見る人にその世界を感じさせるよう表現する必要があります。それをするためには普段から日常生活の出来事や自然に目を向け、感じていくこと。例えばうぐいすが飛んでいくのを目で追う場面があったとします。その仕草は、普段から飛ぶ鳥に注意が向いていないとできませんね。日常生活の出来事が踊りに生きてくることを知っていると、生活の中でも様々なことに気づきが生まれ、感性が磨かれます。そうすると自分の世界が変わってきます。

日本舞踊は身体と心を整える

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(白鳥)日本舞踊は身体と心を調える(ととのえる)ことができます。体を動かしますので、体の健康にいいのはもちろんですが、心を調える効果もあります。

誰しも経験があると思いますが、人はほんの些細なことで不安定になります。しかし機会と場所があれば、自分を律することできます。日本舞踊の稽古とは、そのような役割を担っていると思います。「薫乃会」のお弟子さんには会社員の方も多いですが、実際に、仕事終わりにどんよりした顔でお稽古に来られたお弟子さんが、お稽古をしているうちにみるみる表情が変わってきて、来たときよりも元気になって帰る、ということを何度も経験しています。
お稽古に集中することで自分を「無(ニュートラル)」の状態に戻す、日本舞踊のお稽古は動く「瞑想・マインドフルネス」、現代人にとって、最も必要な時間と場所といってもいいかもしれません。

日本舞踊教室「薫乃会」について

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-タカラジェンヌとして、また日本舞踊家として、自ら表現することと、教えることはまた別の次元のことかなと思うのですが、「教える」ということについてはどのようなお考えをお持ちですか?

教えることは学ぶこと、次につなげること

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(白鳥)当初、教え始める前までは、どちらかと言うと教えること=消耗すると思っていて、積極的に教える仕事をしようとは思っていませんでした。

-意外ですね。どのようなきっかけでお考えが変わったのでしょうか?
(白鳥)習いたい、という人が出てきて教えるようになったのですが、「教える=学ぶ」そして「教える=次につなげる」ことだと気づいて。教える事に興味が湧きました。
まず、自分がわからないことは教えられないので、自分でわかるまで学ぶしかない。だから教えることは、ただ消耗することではなく、学んで成長することだと気づいたんです。

そしてもう一つ、薬師寺の高田好胤(たかだこういん)師の「華ひらひて實をむすぶ」という言葉に出会い、私の中で教えることの意味をさらに深めることができました。
「実を結ぶ」ということは「種」ができるということです。つまり、次の世代へつながるということ。私自身は大器晩成型だと思っていて、花開くのはまだ先だと思っていますが、これまで私がが学んできた「実=成果」を人に教えるということは、日本舞踊、日本の伝統を未来へつなげることができるということです。
この2つが、私が日本舞踊を教えることの意義だと思っています。

基本を大切に

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-実際にお弟子さんを教えるにあたって、特に気をつけていること、意識していることはありますか?

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(白鳥)お弟子さんたちには、その人、個人の個性を大切にし、家族だと思って接しています。お稽古場だけの付き合いではなく、時にはみなさんと飲みに行ったり旅行に行くこともあります。
お稽古では、まずは基本を大切に。「薫乃会」では、入門した人が必ず習う曲があります。長唄関の小万」と「歌舞伎踊り」です。これは日本舞踊の基本の動作がたくさんつまっていて、基礎を学ぶのに最適だからです。

着物の所作・着物の着こなし

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(白鳥)日本舞踊はただ身体を動かすだけではありません。着物を来て踊るため、着こなしを含め、着物を着たときに美しく動くことが必須です。特に役者さんには絶対に日本舞踊を学んで頂きたいと思いますね。時代劇や着物を着て演技するときに、きれいに着付けられるだけでは様にならないんです。歩き方、動き方を知っていることが不可欠です。

日本文化の水先案内「いざないびと」として

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-これからの目標はありますか?
(白鳥)日本文化の水先案内、「いざないびと」として日本文化や日本舞踊のこれからの時代の価値を考え、伝えていきたいと思います。

-現在取り組まれていることはありますか?
(白鳥)日本舞踊の活動としては、日々のお稽古の活動「日本の情景を踊る」と題して年に二回「薫乃会」で日本舞踊公演を行っています。先日通算15回目を迎えましたが、これからも舞踊家としての研鑽を自分自身に課する為にも、継続して参りたいと思って居ります。
また一般社団法人 日本文化継承者協会にて、日本文化講座のナビゲーター、モデル事務所で私のこれまでの経験を元に、外面&内面から好印象を持って頂ける「やまとなでしこセミナー」などを開催しています。

小さいころから踊りが大好きで、芸事を極めるために宝塚音楽学校、タカラジェンヌにまでなってしまった白鳥先生。宝塚を退団されたあとも様々な活動を経て、ご自分の原点である「日本舞踊」の世界へと戻ってこられました。いまでは日本文化を伝える講演やイベントのファシリテーター、そして日本舞踊教室でのご指導に当たられています。

令和元年、新しい名前で、ますます使命に向かって邁進される、白鳥佑佳先生の、これからのご活躍に注目したいと思います!

白鳥佑佳先生に日本舞踊を習ってみたい方はこちら。

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白鳥佑佳日本舞踊稽古場「薫乃会」

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【白鳥佑佳日本舞踊稽古場 薫乃会】
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