江戸の花売りはどんな姿?常磐津「菖蒲売り(あやめうり)」
常磐津「菖蒲売り(あやめうり)」は、あやめを売り歩く行商を描いた演目です。
常磐津「菖蒲売り(あやめうり)」歌詞と解説 – 俺の日本舞踊
江戸時代の花売りは、実際はどんな姿だったのでしょうか?

「どうけ百人一首」より
この絵には夫婦の行商が描かれています。妻は糊売り、夫が花売りで、わらじに脚絆、頭には手ぬぐいを頭巾風にかぶっています。花は菰に巻かれて肩担ぎ。
もろともにかせぎと思へのりうりの 花より外に売る物もなし」という狂歌が添えられています。

この絵は花売りの姿を女方に移したものと思われます。清元「玉屋」に限らず、人気のあった行商が歌舞伎に取り入れられるということはしばしばあったようで、往来、舞台の両方で宣伝効果がありました。
各地に江戸時代から続く「ほおずき市」や「朝顔市」が残っているように、園芸は江戸でも人気の趣味でした。そして今でも、特に女の子の将来なりたい職業の上位に「お花やさん」がランクインするように、江戸時代の花売りや植木売りも人気のあった職業でした。