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先生の横のつながりを作る仕組みと、そこへアクセスできない先生

先生の横のつながりを作る仕組みと、そこへアクセスできない先生

この記事では、先生の横のつながりを作る仕組みの重要性を、公益社団法人 日本舞踊協会(以下、日本舞踊協会、または協会)の支部活動を例に紹介し、さらに、それを必要としていても、アクセスできない先生がいることについて考えてみたいと思います。

日本舞踊協会の事業には、大きく以下の4つがあります。

・公演事業
・普及事業
・顕彰事業
・支部事業

公演事業は「各流派合同新春舞踊大会」、「日本舞踊協会公演」、「新作公演(日本舞踊未来座=SAI=)」の主催、ほか、様々な組織、団体と協力しての公演事業です。

普及事業は、学校巡回公演などのPR活動。

顕彰事業は「永続舞踊家表彰」、「各流派合同新春舞踊大会各賞」、「過去の顕彰事業(花柳壽應賞)」など。

支部事業は日本全国の26支部、10ブロックの、公演、ワークショップ、講習会などの活動のことです。

「町の稽古場をもっと元気に」がスローガンの俺の日本舞踊としては、支部事業に大きな興味があります。支部の活動は、単に公演などイベントを行うことだけではなく、そこに交流が生まれるからです。年に一回の協会公演には、裏方も含めて参加できる人は限られますが、支部の公演やワークショップなら参加できるチャンスが大きく広がります。

日本舞踊の先生の横のつながりができ、情報交換が行われ、単独では解決できない教室運営上の課題のヒントが見つかったり、相談ことで考えが整理されて前に進めたり、といった、目に見えない効果が生まれます。実際、コロナ禍での発表会開催に際して、支部で仲良くなった先生同士で感染対策などの情報交換を行って、開催を実現したという話を何件も聞いています。

町の先生にとって、このような時の横のつながりほど、心の支えになり、頼りになるものはないでしょう。流派によっては、他流の先生とさかんに交流することを良しとしない流派もあると思います。支部事業はそのような状況でも、ある種の「建前」を与え、交流を促進してきた側面があると思います。

一方で、ここに参加できない先生もいます。日本舞踊協会の参加資格を見てみましょう。

入会条件
満15歳以上で、この法人の目的及び事業に賛同していること
所属の流派が協会に加入していること
所属の流派の名取であること

※新流を立ち上げた方や個人の舞踊家の方の入会の場合は上記とは手続きが違いますので、詳細につきましては直接協会事務局までお問合せください。
引用:公益財団法人 日本舞踊協会「協会入会のご案内」

例え教室を開いていても、流派が協会に所属していなければ、協会の会員になることはできません。流派が協会に属しない理由には政治的な理由などもあるのでしょう。しかし、町の教室の先生、そしてそこへ通う人たちにとって、それがどれほどの意味を持っているのでしょうか?

日本舞踊人口が減り、高齢化も進み、時代の変化も激しくなっている今、教室運営においても、スピーディな変化が求められていると思います。それには、先生同時の横のつながりは、非常に有益です。

そんな状況において、先生個人が望んでも、貴重な交流機会、ひいては教室を良くしていけるチャンスを得られにくくなっていることは残念なことだと思います。

もちろん、この責任が日本舞踊協会にあると言いたいわけではありません。協会の持つ仕組みが業界を活性化してきたし、いまもそうしていることは紛れもない事実。一方、その仕組みに、ひょっとすると最もそれを求めているかもしれない人が、入りたくても入れない、これもまた事実であると考えます。この方たちの受け皿がいま求められているのではないでしょうか?