日本版DBSと日本舞踊業界が取りうる対策
日本版DBSが今年から始まる。
日本舞踊教室での子どもに対する不適切な行いは少ないが耳にしたことはある。
伝統芸能の稽古場は義務の対象ではないが、安心して稽古に通える環境のためになんらかのアクションが必要ではないだろうか。
日本版DBSとは
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日本版DBSは、現職の教員や採用予定者らについて、事業者が戸籍情報を用いて性犯罪歴の有無を法務省に照会する制度。犯歴が見つかれば採用を見送ったり、子どもと接しない業務に配置転換したりする。DBSの創設を盛り込んだ児童対象性暴力防止法は来年12月25日に施行予定。こども家庭庁は指針案を関係省庁会議に諮った上で、近く正式決定する。
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引用:時事ドットコム(2025.12.22 https://www.jiji.com/sp/article?k=2025122200513&g=pol)
性犯罪は被害者の心身に回復困難な被害を生じさせるものであり、看過することはできない。しかし、教育現場や習い事の現場で性犯罪や不適切な行為、ハラスメント等が発生していることも事実である。
伝統芸能の稽古場においては、単なるサービスの提供・受益者という関係だけでなく「師弟関係」が存在し、師匠は絶対的な存在である。
「師匠が黒といえば白も黒」などと半ば自虐的に言われることもある。その立場を悪用することは許されることではない。
日本版DBSは、子どもへの性犯罪や不適切な行為(プライベートなSNSメッセージのやり取りなど)を防止する役割のほかに、保護者に選ぶ基準を提供する。日本版DBSへの取り組みが認証されると、認定事業者マークを取得できる。今後、保護者は教育機関や習い事を選ぶ際に、「認定事業者マークがあるか、ないか」を基準の一つにするだろう。
現在、日本版DBSは雇用するスタッフの性犯罪歴を照会するものであって、日本舞踊などの伝統文化の教室は対象外となる。なぜなら流派と町師匠の関係性は「雇用」関係ではないからだ。まだ、教室単位で見ても1人で運営している場合がほとんどで、指導者を「雇用」している例はごくまれだろう。
しかし、性犯罪や不適切な行為への懸念があり、教育機関、習い事、スポーツジム等で日本版DBSの導入が進めば、保護者から伝統文化教室の性犯罪防止への取り組みに関心が集まることは想像に難くない。
日本版DBS制度の施行を機に、何らかの対策・対応が必要ではないだろうか。
当然、日本版DBSを利用することはできないから、起こりうるリスクからできる対策を検討する必要がある。
例えば、日本舞踊は舞踊であるため、体に触れて指導する場面もあり、身体接触には気を使う必要がある。
一般社団法人日本芸能従事者協会は、俳優、モデル、ダンサーなどを想定対象に、「さわってほしくないチェックリスト」を作成・公開している。
これを活用するのも一つだろう。
また、何が適切でない行為なのか、知ることも大切である。
日本版DBSでは、「1対1の車の送迎」「SNSでの個人的なやりとり」「不必要な身体接触」などを不適切な行為とし、指導しても繰り返す場合は「性犯罪のおそれ」があるとし、配置転換などの措置が必要としている。
ここに挙げた行為やハラスメント行為は加害者本人が自覚していないケースも多い。どのようなケースが不適切なのか、指導者に周知することも必要であろう。流派は師範講習や会報などでこのようなことを周知してはどうだろう。