清元「玉兎(たまうさぎ」歌詞と解説
日本舞踊で有名な、清元「玉兎」の歌詞と解説です。
清元「玉兎」の解説
月の兎の伝説と、かちかち山をモチーフにしたストーリー。月から飛び出してきた兎が餅をつくシーンから始まり、かちかち山へうつります。兎、おじいさん、おばあさん、狸と踊り分けていきます。中盤は狸が主人公。薪に火をつけられたり、そのあと唐辛子を塗られてしまったり、最後は泥舟に泣きっ面で退治されてしまいます。再び兎に主役がうつり「お月様さへ嫁入りなさる」とひなびた唄で踊り、最後はまた臼と杵を出し、杵を振り上げたかたちで決まって幕となります。初演から約200年が経った今でも、みんなに親しまれ、子供によく踊られる踊りです。
文政3年(1820年)9月の江戸中村座で七変化舞踊「月雪花名残文台」(つきゆきはななごりのぶんだい)のひとつとして三代目・坂東三津五郎が初演しました。
「玉兎」の歌詞
実(げ)に楽天が唐歌に つらねし秋の名にしおう三五夜中新月の 中に餅つく玉兎 餅じゃござらぬ望月の月の影勝 飛び団子
やれもさ うややれ やれさてな 臼と杵とは 女夫(めおと)でござる
やれもさやれもさ 夜がな夜一夜 おおやれ
ととんが上から月夜にそこだぞ
やれこりゃ よいこの団子ができたぞ おおやれやれさて
あれはさて これはさて どっこいさてな
よいと よいと よいと よいと よいとなとな
これはさのよい これはさておき
昔むかし やつがれが 手柄を夕べの添乳にも
婆食た爺やが その敵 討つや ぽんぽらぽんと腹鼓
狸の近所へ 柴刈りに きゃつめも背たら大束を
えっちり えっちり えじ雁股 しゃござんなれ
こここそと あとから火打ちでかっちかち かっちかち
かっちかち かっちかちのお山といううちに
あつっ あつっ そこで火傷のお薬と
唐辛子なんぞでみしらして 今度は猪牙船 合点だ
こころえ狸に 土の船 面舵 取り舵ぎっちらこ
浮いた波とよ山谷の小船 こがれ こがれて通わんせ
いや こいつはおもしろ俺様と 洒落る下より
ぶくぶくぶく のうのう これはも泣きっ面
よい気味しゃんと敵討ち
それで市が栄えた手柄話にのりがきて
お月様さえ 嫁入りなさる やときなさろせ
とこせい とこせい 年はおいくつ十三 七つ
ほんにさぁ お若いあの子を産んで
やときなさろせ とこせとこせ 誰に抱かせましょうぞ
お万に抱かしょ 見てもうまそな品物め しどもなや
風に千種の花兎 風情ありける月見かな