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長唄「藤娘(ふじむすめ)」歌詞と解説

長唄「藤娘(ふじむすめ)」歌詞と解説

日本舞踊で人気の長唄「藤娘」の歌詞と解説です。

「藤娘」の解説

日本舞踊といえば藤娘、というくらい代表的な演目です。

大きな松の大道具に、天井いっぱいに下がる藤の花、黒の塗り笠に藤の枝・・・女性なら一度は踊ってみたい、と憧れる演目ではないでしょうか。

藤娘(立方:千翠珠煌

大津絵に描かれた藤娘が、絵から抜け出して踊るという趣向の演目です大津絵とは、江戸時代、滋賀県大津市あたりで旅人相手に売られていた絵画。土産物として、後年には護符として人気がありました。

大津絵の藤娘

タイトルは「娘」ですが主人公は、冒頭に「早や二十年の月花を」また「男心の憎いのは ほかの女子に神かけて〜」からもわかるように、子供ではなく、年を重ね恋愛も経験してきた「大人の女性」です。途中挿入される「潮来節(いたこぶし)」は茨城県潮来発祥の地元唄で、都々逸のルーツと言われています。、江戸では遊郭を中心に情歌として歌われました。

潮来節の代わりに「藤音頭」を挿入した現在最もよく知られる構成は、1937年(昭和12年)、六代目 尾上菊五郎演出で完成されました。この時の演出は、藤の精が木から抜け出て、思い通りにならない男心を嘆き夕暮れとともに姿を消す、というもので、松の木に舞台の天井からたくさんの藤の花房を下ろす舞台装置もこのときからです。

この演出が大当たりし、現在舞台で見られる藤娘もほとんどがこの演出です。

作品情報

作曲者 勝井源八
作詞者 四世 杵屋六三郎
初演情報 初演年月:1826年(文政九年)9月
役者:二世 関三十郎
劇場:江戸中村座
振付:藤間大助(二世 藤間勘十郎)
本名題 歌へす歌へす余波大津絵(かえすがえすおなごりおおつえ)
大道具 中央に松の大木、藤の花を吊り舞台面まで垂らす
小道具 塗笠(手持ち六尺ひも付き)
藤の枝
草履(紅緒)
扇子(あやめ又は切箔等)
振出し笠(藤模様)
衣装 着付:黒地に藤の縫模様振袖
帯:とき色地に藤の縫模様 振帯
差込襦袢:赤地に藤の縫模様振袖
着替:藤紫地に藤模様縫振袖(黒襟付)
帯:黒繻子色糸刺しふの字縫振帯
襦袢:赤砂子箔襟垢振袖
小裂:しごき(うこん)、足袋(白)、赤丸ぐけ、赤けだし
かつら 元禄髱(たぼ):土佐絵の元禄島田
赤角櫛:琴柱、扇ビラ、紅白の丈長、藤つまみの横差し

「藤娘」の歌詞

津の国の 浪花の春は夢なれや 早や二十年の月花を

眺めし筆の色どりも書き尽くされぬ数々に 山も錦の折を得て 故郷へ飾る袖袂

 

若紫に十返(とかえ)りの 花をあらはす松の藤浪

人目せき笠塗笠しゃんと 振りかたげたる一枝は

紫深き水道の水に 染めてうれしきゆかりの色の

いとしと書いて藤の花 エエ しょんがいな

裾もほらほらしどけなく 鏡山人のしがよりこの身のしがを

かへりみるめの汐なき海に娘姿の恥かしや

男心の憎いのは ほかの女子に神かけて あはづと三井のかねごとも

堅い誓ひの石山に 身は空蝉(うつせみ)の から崎や まつ夜をよそに 比良の雪

とけて逢瀬の あだ妬ましい ようもの瀬田にわしゃ乗せられて

文も堅田(かただ)のかた便り 心矢橋(こころやばせ)の かこちごと

 

松を植ゑよなら 有馬の里へ 植ゑさんせ

いつまでも 変はらぬ契りかいどり褄で よれつもつれつまだ寝がたらぬ

宵寝枕のまだ寝が足らぬ 藤にまかれて寝とござる

アア何としょうかどしょうかいな わしが小枕(こまくら)お手枕(てまくら)

空も霞の夕照りに 名残惜しむ帰る雁がね

【潮来節(古い演出)】

潮来出島の 真菰の中に 菖蒲咲くとは しをらしや サアよんやさ サアよんやさ

宇治〔富士〕の柴船 早瀬を渡る わたしゃ君ゆえ のぼり船 サアよんやさ サアよんやさ

花はいろいろ 五色に咲けど 主に見かへる 花はない サアよんやさ サアよんやさ

花を一もと わすれて来たが あとで咲くやら 開くやら  サアよんやさ サアよんやさ

しなもよや〔なく〕 花に浮かれて ひと踊り

【藤音頭(音羽屋系の演出)】

藤の花房 色よく長く 可愛いがろとて酒買うて 飲ませたら

うちの男松(おまつ)に からんでしめて

てもさても 十返(とかえ)りという名のにくや かへるといふは忌み言葉

花ものいわぬ ためしでも 知らぬそぶりは 奈良の京

杉にすがるも 好きずき 松にまとうも 好きずき

好いて好かれて 離れぬ仲は 常磐木の

たち帰らで きみとわれとか おお嬉し おおうれし

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