長唄「新曲浦島(しんきょくうらしま)」の歌詞と解説

長唄「新曲浦島(しんきょくうらしま)」の歌詞と解説

近代を代表する長唄、日本舞踊でも有名な「新曲浦島」の歌詞と解説です。

「新曲浦島」の解説

「小説神髄」で知られる小説家・坪内逍遥によって1906年に発表された音楽劇「新曲浦島」のプロローグの部分を長唄で演奏したもの。浦島太郎伝説をモチーフにしていますが、この曲には浦島太郎は登場しません。

坪内逍遥は日本の伝統的な音楽を生かしつつ、西洋の音楽に負けない新しい音楽を作るべきだと考え、創作されたのが「新曲浦島」です。雄大な海原を描写した変化に富んだ名曲です。

「新曲浦島」の歌詞

寄せ返る 神代ながらの浪の音 塵の世遠き調べかな
それ渤海の東幾億万里に 際涯(そこひ)も知らぬ谷あるを 名付けて帰墟というとかや
八紘九野の水尽くし 空に溢るる天の河 流れの限り注げども
無増無減と唐土の 聖人がたとへ 今ここに 見る目はるけき大海原
北を望めば渺々と 水や空なる沖つ浪
煙る碧の 蒼茫と 霞むを見れば三つ 五つ 溶けて消えゆく片帆影
それかあらぬか帆影にあらぬ 沖の鴎の むらむらぱっと 立つ水煙
寄せては返る 浪がしら
その八重潮の遠方(をちかた)や 実にも不老の神人の 棲むてふ三つの島根かも
さて西岸は名にし負ふ

夕日が浦に秋寂びて 磯辺に寄する
とどろ浪 岩に砕けて 裂けて散る 水の行方の悠々と
旦に洗ふ高麗の岸 夕陽もそこに夜の殿

錦繍の帳暮れ行く中空に 誰が釣舟の 玻璃の燈し火白々と
裾の紫色褪せて また染めかはる空模様
あれ何時の間に一つ星 雲の真袖の綻び見せて 斑曇(むらぐも)り変はるは秋の空の癖

しづ心なき風雲や 蜑の小舟のとりどりに 帰りを急ぐ 櫓拍子に

雨よ降れ振れ風なら吹くな 家の主爺は舟子ぢゃ
風が物言や ことづてしよもの 風は諸国を吹き廻る
船歌絡(かが)る雁がねの 声も乱れて浦の門に 岩波騒ぐ夕あらし
すさまじかりける風情なり

 

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