日本舞踊教室の「ちょうどいいコミュニティ」の魅力を考える
日本舞踊の文化的側面、伝統芸能としての魅力は、いろんな流派のHPですとか、愛好家の方々のブログなどでさんざん語り尽くされている感がありますので、私はちょっと違った視点から日本舞踊の魅力を伝えたいと思います。
それは日本舞踊教室の「ちょうどいいコミュニティ」としての魅力です。
日本舞踊教室が「ちょうどいい」理由
日本舞踊は対象年齢が広く、子どもから大人、シニア世代まで参加することができる数少ない習い事です。そして、人数も1つの教師で数人〜30人程度と、少なすぎず多すぎず、師匠を中心として全員の顔を覚えられるくらいの大きさです。日本舞踊を共通点に、幅広い世代と程よい距離の人間関係を築くことができ、さらに組織への貢献感を持てる、「ちょうどいいコミュニティ」なのです。
いろんな世代・ステータスの人がいる
日本舞踊は年齢を選ばない習い事です。3歳の子供がいれば、70代、80代、時には90代の人でも続けています。適度に体を使い、頭を使うのでどの世代にも楽しく続けられるのでしょう。野球やサッカーなど激しいスポーツだとこうはいきません。
世代が幅広いということは、その人たちのステータスもさまざまということです。社会人もいれば、子供を通わせている親御さんも、専業主婦の人もいれば共働きの人もいるでしょうし、引退したシニアの方もいます。日本舞踊ならではですが、役者さんや、役者を目指している人も他の習い事と比べて多いようです。
日本舞踊教室は「ちょうどいい」人数
日本舞踊教室は通常、一人の師匠が門下生を教えます。人数は多くても30人ほどです。都会の人気の師匠だと、補助的に教える先生がいて、30人以上在籍している大きな教室もありますが、おおむね30人くらいまでです。
学校でも人クラスは30人くらいで、このくらいの人数ならみんなの顔と名前くらいは覚えられますし、仲のいい人もいれば、そうでもない人もでてきますが、人数は少なくはないので、程よい距離感で付き合えます。
参加しやすい、貢献感が得られるコミュニティ
小規模のグループは、一人一人の存在感が大きいため、グループの仕事をしたり、役割を担うことで、重要感や貢献感が得やすいという特徴があります。
発表会や親睦会のような日本舞踊教室のイベントごとで、例えば会場準備をしたりとか、幹事役をしたりとか、役割を持つことは、小さな組織とはいえ、その中でとても大きな仕事をした、ということになります。
コミュニティに所属しているだけではなく「参加」し、役割を担うことで、周りからの感謝や信頼も得られますし、そうすることでさらにコミュニティへの帰属意識が高まり、活動が楽しくなります。
子どもが学校へ入る前に、最初に所属するコミュニティとしても適していると思いますし、会社をリタイヤして、家族以外にコミュニティがない人が、日本舞踊教室で周囲と協力し合い、貢献感を得ながら趣味を楽しむ、 ということができるのも、日本舞踊教室ならではのメリットではないでしょうか。
日本舞踊を軸として活動を広げられる
日本舞踊が好きな人は、着物が好きだったり、歌舞伎を見に行ったり、着物でお出かけするのが好きだったりします。実際に教室で知り合った仲間と遊びに出かける人もいます。
日本舞踊を習うだけでなく、共通の趣味で教室の外に出て活動を広げやすいのも日本舞踊教室の特徴です。
SNSでは得られないもの
SNS全盛の現代においてコミュニケーションの量は増大し、インターネット、スマホを通じて一人の人が参加できるコミュニティの選択肢は広がりました。しかしそれは自分の興味関心のあるものに限られ、同質性の強い集まりであるという特徴があります。
日本舞踊教室は日本舞踊という共通点はあるものの、世代、ステータスの幅が広いため、「ちょうどいい」多様さがあります。
インターネット上でできることが増え続ける現代ですが、「ここでしかできない」という体験の価値は下がることはなく、むしろ上がっていくのではないかと思います。世代を超えたアナログな人間関係を築きコミュニティに参加する喜びを得られること、それが日本舞踊コミュニティの価値ではないでしょうか。