日本舞踊、初心者の登竜門といえば、なんといっても「要返し(かなめがえし)」です。
やっとこさ着物を身にまとい、どうにか踊った矢先に襲いかかってくるこの「第三の矢」…。先生に要返しをご指導いただいた初日は「!???」となったまま帰宅すること間違いなしです。
さらなる情報を求め、インターネットで「要返し やり方」と検索した人は数知れず…今まさにそれをやっている、そこのあなた!
この記事の「要返し」解説があなたのお役に立てることを、願ってやみません!(必死)
では早速、解説して参ります。
要返しの「核」となる動き
要返しは、慣れた人がやっているところを見てもひとつの動作にしか見えません。
ですが、実は「核の動き」がその中に隠れています。
それは…
指で扇子を反時計回りに回転させた後、時計回りに回して元に戻すという動きです。
動画で解説①
その動画をご覧ください。
この指遣いは、野球の「素振り」にあたります。
基礎練だと思って励んで下さい😁
それをコマ送り写真で解説します。
まず「核の動き」を反復練習してみよう
【スタート】
A.右側の親骨を親指、人差し指、中指で挟んで固定
(人差し指が骨の裏側)
B.手のひらは上向き
C.残り2本指は邪魔にならないよう折り曲げる
親指を扇子から離します。一瞬だけ、人差し指・中指の二本で支えます。
折っていた薬指を伸ばし、骨に当て…
手首をさらに返します。
【ゴール】
A.人差し指、中指、薬指の3本で扇子を支える
(人差し指、薬指が裏側)
B.手のひらは下
C.すべての指が伸びている
★ここから、スタートに戻ります★
薬指と小指を曲げます。扇子が時計回りに回転するので、合わせて手首を返します。一瞬だけ、人差し指・中指の二本で支えます。
そして親指を骨に当て、さらに手首を90度返します。
【スタート】に戻りました。
この繰り返しです。
【スタート】→【ゴール】→【スタート】→【ゴール】→【スタート】→ ・・・
パタパタパタパタ・・・・・・
まずはこれを極めます。
いよいよ本番!「要返し」をやってみよう
まずは動画をご覧下さい(スロー再生もあります)。
動画で解説②
「受け」から入る動き解説
踊りの中で要返しは基本的に、「受け」で始まり「受け」で終わらなくてはなりません。
この状態が「受け」です。なので、初めは「受け」から。
少し放り投げるようにして右の親骨に持ち位置をずらします。
(投げる前に、ちょっとだけ左に手首を曲げると勢いがついてやりやすい)
右の写真では、人差し指は伸び、中・薬・小指は折り曲げます。
【ゴール】まで回したら・・・
そのまま手をおでこの高さまで持ち上げ、正面にかざします。
この時、親指で要の真下を支えます。
そのまま左回りに回転させ、薬指を離します。人差し指・中指で扇子を回します。
扇子の地紙が自分の方を向くまで回します。
二本指で回した扇子を、親指でキャッチします。
ここが一番難しいところです。
(少々見にくいですが、扇子の地紙は筆者の方を向いています)
小面に「ポーン」とあけおろします。その時、持ち方を「受け」に戻します。
完了!
「受けではじまり、受けで終わる」には理由があります。要返しは「踊りながらやるもの」なので、半端な持ち方で終わると右手だけ次に繋がらず、踊りが途切れてしまいます。
応用編:要返しからの「半要(はんがなめ)」
【ゴール】の形から写真のように扇子を握りこむことができます。
この持ち方を「半要(はんがなめ)」と呼びます。
随所で登場します。
まとめ
いかがでしたでしょうか。疑問が少しでも解けたことを祈っています。
要返しの「核」の動きで基礎練を積み、手の上下による演出によって「踊り」として昇華してほしいと思います。
上達するには回数をこなすことが大切
そして、つまらない回答ですが、美しさを磨くにはなんといっても回数をこなすことです。たくさん練習して、たくさんお稽古して下さい。そうすればいつの間にか、驚くほど自然に扇子が「ひらひらっ」と回ってくれることと思います。
この記事を書いた人:原田 旭
新宿のリトルシアターで観た女形パフォーマンスに衝撃を受け、29歳で日本舞踊の世界に飛び込む。日舞を通じてその奥深い身体技法や日本古来の鮮やかな情景に触れ、魅了されながら研鑽を積んでいます。Youtbeチャンネルはこちら