日本舞踊の稽古場、最適な色は何色?【和室が最強です】

日本舞踊の稽古場、最適な色は何色?【和室が最強です】

稽古場がいまいち落ち着かない、稽古により集中したい、リラックスして稽古できる空間を作りたい。

日本舞踊の先生なら、稽古場をよりよいものにしたいと考えていると思います。今日は「色」から、稽古場について考え、稽古場に最適な「色」は何か、を考えます。

私たちが無意識に受けている「色」の影響

礼服を着ると厳かな気分になる、真っ白なシャツを着るとハツラツとした気分になる、部屋にカラフルな花を飾るとウキウキしてくる・・・「色」で私たちの気分が変わることは、どなたにもご経験があると思います。人は無意識のうちに「色」の影響を受け、気分や体にまでその作用が生まれています。

お稽古場を「色」の観点から考えることで、よりよいお稽古場づくりについて考えてみたいと思います。

稽古場に最適な色は、ズバリ「和室カラー」

品川歴史館・書院(実践女子大学日本舞踊部の皆さん)

身体の力を抜いて、リラックスした状態で稽古をしたい、と考えるなら、稽古場に最適な色は「和室カラー」です。

和室の色と、占める面積を分析すると、以下のようになります。

ベーシック・カラー(室内の70%)としてベージュ色や生成り色、緑色系(パステルカラー)・・・壁、天井、畳

サブ・カラー(室内の25%)として無彩色の白・・・障子、ふすま

アクセント・カラー(室内の5%)として純色や補色・・・着物、置物、小物など

*純色・・・赤、オレンジ、黄、緑、青、紫などの色の中で、最も鮮やか(彩度が高い)な色のこと。

*補色・・・色相環の円の向かい合わせに位置する2つの色。お互いの色を引き立てあう効果がある。

色相環

これが、稽古に最適な理由を見ていきます。

3つのカラーで室内を構成する

部屋の色を考えるとき、すべて同じ色で統一することはできませんし、そうすることは適切ではありません。複数の色の組み合わせにより、色の調和が生まれ、居心地の良い空間が生まれます。

部屋の色の構成を考えるときの目安として、以下の3つのカラーを考えます。

ベーシック・カラー(70%)・・・天井、壁、床、畳

サブ・カラー(25%)・・・ドア、窓、障子、ふすま

アクセント・カラー(5%)・・・置物、小物、着物、洋服

もちろん、最も大きな影響を与えるのはベーシックカラーです。

では、和室のベーシックカラーである、ベージュ色や生成り色、緑色系(パステルカラー、うぐいす色など)について、どういう特徴があるのか、見ていきます。

ベージュ系は無意識に身体がリラックスする色

聚楽塗(じゅらくぬり)の壁・・・水や土、砂、藁を使用した土壁のひとつ。

日本舞踊の稽古は、当然ですが、身体を使います。つまり、部屋の色が人の身体に与える影響が、非常に重要だということになります。実際に、色や光は無意識に人に筋肉に影響を与えることがわかっています。

ですのでベーシックカラーは、私たちの身体をリラックスさせる色でなければなりません。いるだけで強い緊張感を感じるような部屋は、稽古場としては適切ではないでしょう。

色は、筋肉をリラックスさせたり緊張・興奮させたりする

色や光に対する筋肉組織の緊張度のことを、「ライト・トーナス値」といいます。ライト・トーナス値が低い色は、人の筋肉をリラックスさせ、高い色は緊張・興奮させます。

色のライト・トーナス値を調べると、ざっくり「寒色系カラー(青や緑)はリラックス、暖色系カラー(橙や赤)は緊張」、とまとめることができます。

それぞれのライト・トーナス値の順に並べたのがこちら。

和室の大部分を構成するベージュ系のライト・トーナス値は23で、正常値と同じになります。この状態では筋肉は弛緩、つまりリラックスします。青、緑もやや緊張よりですが、リラックスカラーです。

しかし、黄、橙、赤となると、筋肉は緊張、興奮を示します。色は、本人が意識するしないにかかわらず、筋肉に影響を与えてしまいます。

つまり、赤やが多くを占める部屋では、リラックスすることがとても難しくなります。そもそも稽古場に限らず、生活する空間のベーシックカラーにこれらの色を採用するべきではないでしょう。

ベージュ系の部屋が居心地の良い理由

ベージュ系の部屋が居心地が良いもう一つの理由は、色の反射率です。ベージュが、日本人の肌色と同じ50%の反射率を持つため、人肌になじみ、心地よく感じられます。

反射率とは?

色はどれだけ光を反射するかという「反射率」を持っています。色はほとんどの光を反射し、黒は反射せず吸収してしまいます。日傘は黒いほうが、日光を遮れますよね。

室内の色の反射率も、私たちの身体に大きな影響を与えます。

ベージュは反射率50%で、日本人の肌色の反射率50%と一致します。反射率が高ければ、人の肌は黒ずみ、くすんで見えるため、気分も落ち込んでいきます。しかし暗すぎるのも逆効果になります。

和室のベーシックカラーであるこれらの色は、捨て色(引き立てる色)となり、着物を美しく引き立たせる効果もあります。着物は落ち着いたベーシックカラーの部屋でこそ、映えるのです。

色の反射率(一例)

・白ペイント 75%
・白しっくい 70%
・コンクリート 55%
・ヒノキ 53%
・スギ 50%
・レンガ(淡い褐色) 48%
・畳 40%
・レンガ(濃い赤) 30%
・セメント 27%
・砂岩 18%
・マホガニー 9%
・土 7%

和室のサブカラーは?

和室の約25%を占めるサブカラーは、障子やふすまの「白」です。特に障子は大きな役割を果たします。障子やふすまの色は、無彩色の白、もしくはオフホワイトが最適です。

障子のメリット

・日光を部屋の中へ伝え、身体を健康にする
・穏やかに室温と湿度を調節する
・空気をろ過する
・強すぎる光を和らげる

緊張感も持たせたい場合は?

ここまで、和室の色は身体をリラックスさせ、日本舞踊のお稽古に最適である理由を解説してきました。一方で、リラックスだけではなく、緊張の要素も取り入れたい、という意見もあると思います。その場合はどうしたらいいでしょう。

ベーシックカラーは変えずにサブカラー、アクセントカラーなど調節

集中は必要であるとはいえ、緊張・興奮色である、赤や橙をベーシックカラーに使用することはおすすめできません。壁面や床面といった広い面積にこれらの強い色を使ってしまうと、ストレスも大きくなってしまうことでしょう。

なので、サブカラーの一部や、アクセントカラーとして、これらの色を取り入れてみてはどうでしょうか。

例えば、お稽古の時に着る着物や帯に、暖色系のカラーを取り入れる、絵や花など、室内に置くものに暖色系のカラーを取り入れるなどです。色ではありませんが、神棚や、緊張感のある書を飾る、なども、室内の空気を変える装置として機能します。

「和室カラー」を意識して稽古場をより良い空間に

以上、稽古場に最適な色、というテーマで解説しました。結論は以下の通りです。

ベーシック・カラー(70%)としてベージュ色や生成り色、緑色系(パステルカラー)・・・壁、天井、畳
サブ・カラー(25%)として無彩色の白・・・障子、ふすま
アクセント・カラー(5%)として純色や補色・・・着物、置物、小物など

あなたのお稽古場の「色」はどうですか?

こちらの組み合わせを意識しつつ一度、稽古場の色について、考えてみてはいかがでしょうか。

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