日本舞踊で「腰を入れる=中腰」という誤解

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某日の稽古にて。

「腰を入れて!」「は、はいっ」中腰になる

「腰を入れて!」「は、はいっ」膝を曲げる

日本舞踊において腰を入れることが大事と言われます。この「腰が入る」という動作(状態)は、「中腰になる」あるいは「膝を曲げる」と解釈されています。が、これは誤解であり間違いです。

今日は「腰を入れる」「腰が入った状態」について考えます。

「腰を入れる」とは

まず言葉の意味を理解するために、辞書を引いてみましょう。

こしをいれる【腰を入れる】
① 腰を安定させる。 「 - ・れてバットを振る」
② あることを本気になってやる。真剣に取り組む。本腰を入れる。身を入れる。 「試験勉強に-・れる」

大辞林より

身体的に腰が安定した状態と、精神的に気持ちが集中している状態の2つの意味があります。身体的には腰の安定は意味しますが、膝を曲げるとか、中腰になる、腰を落とすなどの姿勢までは指定されておりません。

腰が安定=重心が安定

ここでいう「腰の安定」とは「重心の安定」です。人は歩行するときに必ず重心が左右にブレます。

歩くときは、足を交互に前に出しますね。つまり片足を地面から離さなければなりません。右足を上げれば左足だけで立っている状態になりますから、自然と体は右側に傾きます。両足で立っていたときは体の中心にあった重心も、当然右側へ移動します。右足が地面につけば、両足で体を支えることになりますので、重心は再び体の中心に戻ります。

腰が入っている=重心が左右にブレない

腰が入っている状態とは、この左右の重心移動が限りなく小さくなった状態をいいます。「すり足」が腰を入れるのに向いているのは、足が地面から離れないために重心の左右の移動を抑えやすくなるからです。

こう考えると、単に膝を曲げても、中腰になって腰を落としていても、「腰が入っていない」場合もある、ということがわかると思います。

いずれ、画像や動画付きで解説記事を書きたいと思います。今日は、日本舞踊で「腰を入れる=中腰、膝を曲げる」ではなく、重心が左右にブレず、腰が安定している状態なんだ、ということをお伝えしました。

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