日本舞踊の名取試験の内容とは?【注意点あり】

日本舞踊の名取試験の内容とは?【注意点あり】

名取を目指したら?と言われた。

流派の名前ってどうしたらもらえるんだろう。「名取」というのになればいいらしい。

名取試験の内容が知りたい。

名取に興味を持ったら、内容や、難しさが気になるもの。この記事では、名取試験についてまとめました。

「名取制度」は日本舞踊の流派であれば、どこでも設けている制度ですが、流派によってその基準や内容は様々です。こちらの記事はあくまで一般論として、詳しくはあなたの師匠や、流派の事務局などに確認してくださいね。

この記事でわかること

✓代表的な名取試験の内容

✓名取試験の勉強方法

✓代表的な流派の名取試験

✓名取試験の難しさは?

✓名取試験を受ける前に確認したい大切なこと3つ

✓名取になる目的を考える大切さ

代表的な名取試験の内容

日本舞踊の「名取」とは、家元から一定水準の技量があることを認められ、流派の名前を名乗ることを許された人のことです。

名取になるには「名取試験」を受けて合格する必要があります。代表的な名取試験の内容はズバリ、「課題曲を家元(や流派の幹部の人たち)の前で踊る」です。その上で技量が認められれば、晴れて名取合格となります。師範*は家元の前で踊るけど、名取は師匠の推薦でなれるというところもあります。

*師範 名取のさらに上の資格。師範は弟子をとって教える事ができる。

課題曲は一曲で良いところもあれば、複数の曲を踊らなければならない場合もあります。

どのような曲が選ばれるかは、課題曲は流派によって指定があり、様々ですが、短くても技術が求められるご祝儀ものなどが選ばれる流派が多いようです。

名取試験の勉強方法

基本的には師匠に名取試験に向けて課題曲の稽古をつけてもらいます。希望して認められれば、同じ流派の違う先生に試験用にお稽古をつけてもらうこともできます。

名取試験では家元や流派の幹部の方の前で踊りを披露することになります。踊り慣れている師匠だけではなく、別の人に踊りを見てもらう経験も役に立つかもしれません。

代表的な流派の名取試験

代表的な流派の名取家試験について調べてみました。

宗家西川流 長唄「重ね菱」、長唄「扇」

坂東流 長唄「松の緑」

花柳流 「汐汲」「子守」「山姥」「廓八景」「供奴」「夕月船頭」。平成25年3月から初級名取の制度ができ、「松の緑」「潮来出島」で、受験可能になったそうです。

吉村流 地歌「茶音頭」、または「古簾の戸」

*名取試験の内容は公開していない流派も多数ございます。正確なところは必ず各流派事務局等へお問い合わせください。

参考にさせていただいたサイト

宗家西川流 宗家西川流 ひまわり会

坂東流 坂東流公式HP

花柳流 花柳朱美様HP

吉村流 上方舞 翠乃部屋

名取試験の難しさは?

これも気になりますよね。

名取試験の難しさは正直、流派によって「かなり差がある」ようです。

あるていどの年数の稽古を重ねていれば、名取を取らせてもらえる流派

名取は比較的簡単だけど、師範になるハードルがとても高い流派

名取の中でも段階があり、試験結果によって合格でも「初級・中級・上級」などにレベル分けされる流派

私はこのような流派の話を聞いたことがあります。一つ目のような流派は、正直どうなのかな~と思いますが、現実にはそういう流派も存在するようです。

これは私なりの推測ですが、名取の合格基準がなぜ違うのか考えてみました。

「名取」「師範」は流派の中で基準を決めて発行する、ライセンスのようなものです。一門の名を名乗るからには、名取から高い基準を求める流派もあれば、名取になったのを機に、積極的に場数を踏んでもらって成長を促す、というような教育目的で、他の流派よりハードルを低く設定する流派もあるのかもしれません。

ただ、どの流派にもほぼ共通して言えるのは、名取の基準は多少難易度の差はあっても、師範には一律に高いレベルが求められるということです。弟子をとって教えるというのはそれだけ責任があるということなのでしょう。

そして、名取になったからと言ってすぐに仕事につながるとか、周囲から称賛されるとか、メリットに直結するということはないので、名取になったからと言ってそれを活かすのはあくまであなたの実力・ふるまい方次第ということになります。たとえ名取試験が簡単だったとしても、それに満足せず、自分の基準・目的をもってお稽古されるのが良いのではないかと思います。

名取試験を受ける前に確認したい大切なこと3つ

名取試験を受ける前に確認しておきたいことを3つ紹介します。大切なことなので、しっかり確認してくださいね。

受験の条件

名取試験を受けるには条件があります。

これも流派によって異なりますが、「入門してから〇年以上経過している」とか、「〇歳以上」とか、「誰かの推薦が必要」、などの諸条件があります。

特に他流派から移ってきた人は、技術があっても、「入門してから〇年」の条件にかかる可能性があります。早く名取になりたくても条件が合わないと受けられないため、注意してください。

また、受験の時期も随時ではなく、年に二回、など時期が指定されている流派もありますので、それに合わせてお稽古をするようにスケジューリングも注意しましょう。

名取になるためにかかる費用

名取は、踊りがうまければタダでなれるわけではありません。かかる費用は主に以下の費用があります(流派により違いがあります)。

・名取試験のためのお稽古のお礼

・名取試験受験料

・名取合格ののち、家元に収める「名取料」

・名披露目(なびろめ)の会に必要な費用

・毎年収める年会費

このうち、高額になる可能性があるのが「名取料」「名披露目の会に必要な費用」です。

名取料は20万~50万円程度と言われています。

名披露目の会は、自分の名前を知ってもらうために行う発表会です。どの程度の規模で行うかによりますが、本格的な舞台で開催することが多いので、数十万円から百数十万円以上かかる場合もあります。

いずれも、それぞれ流派によって違いがあるので、予算と師匠と相談しながら決めましょう。名取に向けて計画的に貯金される方もいらっしゃいますね。

参考書籍:日本舞踊ハンドブック改訂版(藤田洋)

名取になる目的

最も大事なのが、あなたが名取になる目的です。先ほど書いたように、名取になるにはそれなりにまとまったお金がかかります。そして、お金の面だけではなく、名前をもらうということは、「流派の芸を大切に受け継ぎ、その看板を背負ってこの先ずっとやっていく」ということです。名取になれば他流に移るということはそう簡単にできませんし、名前を名乗る責任も生じます。それなりの覚悟が必要であると思います。

あなたが名取になりたい目的は?

もちろん、名取になれば、一門の名前で舞台に立つことができますし、芸能活動をされる方であればスキルの証明にもあります。一般の方でも、名取ということになれば、芸事に一生懸命取り組んできたことや、教養があることを知ってもらえる、いいこともたくさんあるのが名取です。名取になったのを機に、舞踊家としての自覚に目覚めた、という方もいます。

なんとなく長年やってきたから、とか、芸名が欲しいからで名取を受けても間違いではないと思いますが、大きなお金が動き、周囲の期待も責任も高くなる「名取」。何のために名取を目指すのか、なぜ名取になるのかを明確にしておいたほうがいいでしょう。

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