長唄「扇蝶(おおぎちょう)」

長唄「扇蝶(おおぎちょう)」

日本舞踊で人気の長唄「扇蝶(おおぎちょう)」の歌詞と解説です。

牡丹に蝶(葛飾北斎)

長唄「扇蝶」の解説

扇を蝶にたとえ、蝶を扇にたとえて、自由自在にイメージを遊ばせます。

「荘子の夢心」とは有名な「胡蝶の夢」のこと。蝶と扇と私とが、舞によって渾然一体となる様子が浮かびます。また「天の羽衣を、霞にかえす春の蝶」とは、春の霞の羽衣をまとっているという、春の神「佐保姫(さほひめ)」のオマージュでしょうか。

「しょんがえ」とは囃し言葉。江戸時代から明治にかけてこの囃し言葉がつく歌を「しょんがえ節」とも言いました。

作詞は小野金次郎、作曲は杵屋佐登代。作詞の小野金次郎は元読売新聞の演芸部の記者で、のちに独立してビクター専属の小唄作家となりました。記者時代にはチャップリンの初来日時の通訳を務めるなど異色の経歴をもった人物でした。ちなみに俳優の小野武彦の祖父でもあります。

長唄「扇蝶」の歌詞

花飛び蝶驚けども人憂えず、いつの世までも寿を祝うて天の羽衣を、霞にかえす春の蝶

百合の化(け)したる夏の蝶、ひらりひらひら白扇や、閉ずればかたき地紙より、雪をめぐらす冬の蝶

蝶は浮気であしたの露を、吸いにきたやら南やら(しょんがえ)

主に扇の心の要、かたくしめたる縁となる(しょんがえ)

扇かざせば翅(はね)となり、翅をひらけば絵扇の、蝶と扇は舞の友、えいえいわっさりそれそれそれよ、ふわと浮かれて目の影に、気随気儘(きずいきまま)な身はかげろうの、われや荘子の夢心

実(げ)に実(げ)にこれは扇蝶、唄の節こそ面白き、唄の節こそ面白き

歌詞・解説カテゴリの最新記事