日本舞踊人口が伸び悩む3つの理由

日本舞踊人口が伸び悩む3つの理由

先日、日本舞踊について研究しているという高校生から、次のような質問をいただきました。

「日本舞踊人口が伸び悩んでいる理由として考えられるものは何だと思いますか?」

今日はこれについて、考えたいと思います。

私が考える、日本舞踊人口伸び悩みのの主な理由は、次の3つです。

・人口減少
・娯楽の多様化
・日本舞踊の価値が、時代に合わなくなってきている

それぞれ詳しく見ていきます。

1.人口減少

そもそも、日本の人口の母数自体が減っていくからです。

最も大きな影響と言えるのはこれでしょう。分母自体がどんどん減っていくのですから。

2060年には日本の人口は9,000万人にまで落ち込むと言われています。人口減少に連れて日本舞踊人口が減るのは、当然ともいえます。

出生数86万人に急減、初の90万人割れ 19年推計(日本経済新聞)
厚生労働省が24日発表した2019年の人口動態統計の年間推計で、日本人の国内出生数は86万4千人となった。前年比で5.92%減と急減し、1899年の統計開始以来初めて90万人を下回った。出生数が死亡数を下回る人口の「自然減」も51万2千人と初めて50万人を超え、政府の対策にもかかわらず少子化・人口減が加速している。

日本の人口の推移 – 厚生労働省

なお、経済予測はよく外れますが、人口予測はほぼ外れないと言われています。これはほぼ確実に訪れる未来です。

ここで重要なのは、日本舞踊人口の中の年齢構成です。

人口ピラミッドはみなさんも見たことがあると思いますが、ピラミッド型から釣鐘型へと変化しています。

1965~2020~2060年の日本の人口ピラミッド

参考:国立社会保障・人口問題研究所

「日本舞踊人口」がこの「日本人人口」全体の年齢構成と近ければ、「日本舞踊人口」は「日本人人口」と比例して減っていきます。

一方で、「日本舞踊人口」の人口ピラミッドを見たときに、若年層が多く、高年齢層が少なければ、日本人人口減少よりも急激に日本舞踊人口は減っていきます。

その場合は、母数が減っていく若年層の一人でも多い獲得と、高年齢層に響く魅力の検討などが必要になってくるでしょう。

また、母数を増やすという意味では、海外に目を向けるものいいかもしれません。リモート技術の発達により、海外でも日本舞踊のお稽古をすることは不可能ではなくなりました。人口が減っていく日本から、数十倍ある海外マーケットへ打って出る必要がますます増してくるかもしれません。

2.娯楽の多様化

習い事や娯楽の選択肢が増えているので、それだけ日本舞踊を知ってもらえる機会も減りますし、知ってもらえても選ばれる可能性が減ります。

「英語」「プログラミング」など新しい習い事は時代の「今」を反映しているので強力なライバルです。また「日本舞踊」を娯楽として楽しむ文化は、多くの地域で失われています。

日本舞踊を選んでもらうには?と考えたときに、ついつい考えがちなのが、「バレエ」「ピアノ」「塾」など「習い事」と比較することですが、ライバルはそれだけではありません。

サービスは「可処分所得と可処分時間の奪い合い」と言われます。

可処分所得とは、自由に使えるお金のこと。

可処分時間とは、自由に使える時間のこと。

お金があっても、時間を割いてもらえなければ意味がありません。

例えば、「スマホゲーム」。無料でとても面白いゲームがたくさんあります。

「Youtube」。これも無料で面白い、また勉強になるコンテンツがたくさんあります。どちらも、ふと時間を忘れて没頭してしまったという経験、ありませんか?

実もふたもない話をすれば、これらも含めて、限られた「お金」と「時間」の奪い合いなのです。日本舞踊は、「スマホゲーム」「Youtube」に勝てますか?

3.これまで日本舞踊が提供してきた価値が、時代に合わなくなってきている

「舞踊」の社会的役割はおおざっぱに、以下のような変遷を辿ってきたと考えています。

日本の舞踊(民族舞踊や能、狂言などを含む)
・古代:自然や神、天皇など対して畏怖や敬意を表現する、集団の団結を高める
・鎌倉・室町・戦国時代:戦乱の世で荒んだ人の心を癒す(夢幻能など)
・江戸時代~:エンターテイメント(歌舞伎など)

日本舞踊
・江戸時代~昭和 男性の教養(お座敷文化)女性のたしなみ(花嫁修業、玉の輿)
・平成~ ?

日本舞踊は江戸時代に歌舞伎の振付師が町の子女に踊りを教え始めたことから生まれ、特に女性が魅力を上げるために好んで嗜まれました。

江戸時代は戦争もなく、男性は出世の機会がないため、家柄を上げるためには女性が自分を磨き、格上の男性に見初められて嫁入りするしかなかったからです。日本舞踊は女性らしさ、教養を身につけるための手段でした。嫁入り修行的なものです。

一部の男性にも需要がありました。いわゆる「お座敷文化」として、比較的富裕な商売人や公務員など、接待の場で「踊りの一つも踊れないと出世できない」といった教養として踊りを習う文化がありました。

明治大正昭和と時代が進むにつれ、「男性が女性を選ぶ」「しとやかで教養豊かな女性が選ばれる」「嫁入り修行」などの考え方や価値観が変化し、また、お座敷文化も廃れていったことから、これまでの日本舞踊の担ってきた役割と時代のニーズ、価値観が合わなくなってきたのではないでしょうか。

もし、これからも近代までの価値観で日本舞踊を語り続けるなら、ごく一部の古典趣味の人にしか選ばれないものになることでしょう。

それも一つの選択肢ですが、「伸び悩み」を解決する、日本舞踊人口を増やす、という目的を持つのであれば、現代に必要とされる価値を見出していく必要があります。

4.現状を知ることが大事

いま必要なのは、現状を知ることです。

「1.人口減少」の項目で触れたように、

・どんな人が

・どのくらい

・どんな理由で日本舞踊を習っているのか

・どんな理由で辞めていっているのか

・どんなことに魅力を感じ、不満を持っているのか

・どこで日本舞踊を知り

・どうやって探しているのか、などなど。

そういった現状を知ることが、なにかアクションを起こすときに力強い道しるべとなります。

そのためには全国の教室や流派が、横断的にデータを提供し、分析する必要があります。

俺の日本舞踊運営者の梅澤は、教室サポート事業の一つとして、教室からいただいたデータを分析、情報提供を行っています。

もしこのようなデータ収集と分析に興味がある教室、流派の方がいらっしゃいましたら、ご連絡ください。あなたの教室や業界を盛り上げるために、データ収集・分析活動にご協力頂ければと思います。

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