長唄「鷺娘(さぎむすめ)」歌詞と解説

長唄「鷺娘(さぎむすめ)」歌詞と解説

日本舞踊で人気の長唄「鷺娘(さぎむすめ)」歌詞と解説です。

鈴木春信「鷺娘」

長唄「鷺娘(さぎむすめ)」解説

日本舞踊の演目として不動の人気を誇る長唄「鷺娘」。

人気ぶりに浮世絵の題材にもなっています。一方で物語の詳細は伝えられておらずミステリアスな一曲でもあります。

初演は宝暦十二年(1762年)4月市村座。二代目・瀬川菊之丞によって、六変化舞踊「柳雛諸鳥囀」(やなぎにひなしょちょうのさえずり)のひとつとして演じられました。作曲は冨士田吉治、杵屋忠次郎。

舞台の流れはまず、白無垢の振袖に黒の帯をした鷺の精が現れ鳥の所作を見せます。

やがて衣装を引き抜き振袖のかわいい娘姿となり、恋の口説きを見せます。

しかし再び鳥の姿となり地獄の苦しみを受ける様を見せ幕となります。

ざっくり解説するとこのようなストーリーなのですが、その背景などはよく分かっていません。

・娘はどんな人物で、誰に恋をしたのか?

・鷺が人に恋をして、人の姿になって現れたのか?

・鷺でありながら人に恋をしたために責めを受けたのか?

・逆に、恋に焦がれた人間の娘が、鷺に身をやつしたのか?

・なぜ地獄の責め苦を負うのか?

・責め苦は恋の苦しみの例えなのか、文字通り閻王(閻魔大王)による罰なのか?

その開かれた解釈可能性そのものも、この曲の魅力の一つとなっています。

長唄「鷺娘(さぎむすめ)」歌詞

妄執の雲晴れやらぬ朧夜の 恋に迷ひしわが心 忍山 口舌の種の恋風が 吹けども傘に雪もつて

積もる思ひは泡雪と 消えて果敢なき恋路とや 思ひ重なる胸の闇 せめて哀れと夕暮に

ちらちら雪に濡鷺の しょんぼりと可愛らし

迷ふ心の細流れ ちょろちょろ水の一筋に 怨みの外は白鷺の 水に馴れたる足どりも

濡れて雫と消ゆるもの われは涙に乾く間も 袖干しあへぬ月影に 忍ぶその夜の話を捨てて

 

縁を結ぶの神さんに 取り上げられし嬉しさも 余る色香の恥かしや

須磨の浦辺で潮汲むよりも 君の心は汲みにくい さりとは 実に誠と思はんせ

繻子の袴の襞とるよりも 主の心が取りにくい さりとは 実に誠と思はんせ

しやほんにえ 白鷺の 羽風に雪の散りて 花の散りしく 景色と見れど

あたら眺の雪ぞ散りなん 雪ぞ散りなん 憎からぬ

 

恋に心も移ろひし 花の吹雪の散りかかり 払ふも惜しき袖笠や 傘をや 傘をさすならば

てんてんてんてん日照傘 それえそれえ さしかけて いざさらば 花見にごんせ吉野山

それえそれえ 匂ひ桜の花笠 縁と月日を廻りくるくる 車がさ それそれそれさうぢゃえ

それが浮名の端となる 添ふも添はれず剰へ

 

邪慳の刃に先立ちて 此世からさへ剣の山

一じゅのうちに恐ろしや 地獄の有様悉く 罪を糺して閻王の 鉄杖正にありありと

等活畜生 衆生地獄 或は叫喚大叫喚 修羅の太鼓は隙もなく 獄卒四方に群りて

鉄杖振り上げくろがねの 牙噛み鳴らしぼっ立てぼっ立て 二六時中がその間 くるり くるり

追ひ廻り追ひ廻り 遂に此身はひしひしひし 憐みたまへ我が憂身 語るも涙なりけらし

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