長唄「関の小万(せきのこまん)」歌詞と解説
日本舞踊で人気の長唄「関の小万(せきのこまん)」歌詞と解説です。
長唄「関の小万(せきのこまん)」解説
あらすじ
女の身ながら、父の仇討ちを果たした「小万」の物語です。
九州久留米の有馬氏の剣道指南役であった牧藤左衛門は、同輩の小林軍太夫に恨みを買い、殺されてしまいます。
牧藤左衛門の妻は身重ながら敵(かたき)を討とうと旅に出ますが、鈴鹿峠を越えたところの関宿・山田屋で力尽き、ひとり娘の「小万」を産んで間もなく命を落とします。
山田屋の主人は亀山藩に頼んで小万に武芸を習わせ、1783年(天明三年)、ついに父の敵と巡り合えた小万は、馬子に扮して待ち伏せし、見事、仇討ちを果たします。
解説
この曲の本名題を「四季花笠踊(しきのはながさおどり)」といいます。
若い女形が花笠をかぶり、また両手にも持って踊るテンポの早い二上り(三味線の調律のこと)の曲で、歌詞の内容もさまざまな笠に花や雪を唄いこんでいます。
「それそれ小万 また 踊り出せ…」には丹前の振りなどもあって、初期の歌舞伎舞踊の特色などもよく出ており、「馬場先踊」、「加賀の菊」、「菊づくし」と共に伝えられたのですが、また、この曲はまだ長唄という名がつけられぬ時代の長唄として貴重な作品とも言われています。
日本舞踊の基本的な動きが入っており、藤間流では一番最初に習う曲とされています。
長唄「関の小万(せきのこまん)」歌詞
関の小万は亀山かよひ 色を含むや冬ごもり
初春の祝いにて ぬふちょう袖の花笠
夏は涼しき網代笠 秋は高尾にそめたりな紅葉笠
それそれ小万 またおどりだせ
小万てん手拍子がそん揃うた
そろたそろた そろそろそろたとさ
月の笑顔に 菅笠を揃えて
そりや誰が笠よ そりや誰が笠よ
冬は雪見にかざす袖笠
花の都の御所塗り笠よ なりがようて
さてさてどっこい ようござる
花の一重は亀山の 花の一重は亀山の
見ても見あかぬ春景色