子ども習い事サイト「スクルー」に聞く!トレンドの変化で日本舞踊にチャンス到来?
もっとたくさんの子供たちに、日本舞踊のよさを知ってほしい!体験してほしい!
でもどうしたらいいんだろう?
いまの子供、親御さんはどういう軸で習い事を探しているんだろう?
そこへ、どうアピールすればいいんだろう?
子供向け習い事マッチングサイト「スクルー」を取材しました。
子供の習い事のトレンドは?選ばれる教室・体験の特徴は?日本舞踊教室がアピールするために気を付けることは?など、日本舞踊教室の先生が気になることを取材しました!
取材内容はこちら。
・コロナでも根本的な習い事ニーズは変わらない
・「個性」がある教室が選ばれる
・継続の秘訣は「親御さんへのフィードバック」にあり?
・「いろんなものを試して好きを探す」傾向
・日本舞踊教室がアピールしていくには?
・「成功体験」を積んでほしいから・・・伝統文化のような習い事こそ、紹介したい
・取材を終えて
子供向け習い事マッチングサイト スクルー
スクルーは「子どもの体験を10倍にする」をコンセプトに、継続的に通う習い事や、1日や1ヶ月、1シーズンで完結型プログラム、各種のレジャーやアクティビティまで、子どもにとって価値のある体験を集めたプラットフォームです。
主に幼児〜小学生の子どもを持つ保護者が日々サイトを利用して、新しい体験にチャレンジしています。
スクルーに掲載する教室等の事業者は、無料で生徒の募集を行うことができ、生徒が入会した場合でも手数料はかかりません(一部有料プランもあり)。
無料で提供している理由は、小規模な事業者も参加しやすい仕組みにすることで、子どもの選択肢を最大限広げたいという方針からです。スクルーは、子ども、保護者、教室事業者の全てにメリットのあるプラットフォームです。
うめざわ
本日は、子供向け習い事マッチングサイト「スクルー」代表取締役の犬塚さんにお話を伺います。
犬塚さん、よろしくお願いします!
スクルー 犬塚さん
よろしくお願いします。
コロナでも根本的な習い事ニーズは変わらない
うめざわ
最初に、最近の子供向けの習い事の傾向などを教えていただけますか?
新型コロナウィルスの影響なども大きかったと思いますが。
スクルー 犬塚さん
そうですね、去年の4,5月くらいは世の中の活動と同じで、習い事も動きがほぼゼロでした。
しかし、意外と早い段階から、屋内活動、屋外活動ともに習い事は回復してきましたね。
スクルー 犬塚さん
背景としては、まず各教室が感染対策を徹底されたこと。スクルーとしても対策をしている教室にはアイコンを設置するなどして案内していける体制を作りました。
次に、早くからオンラインのコンテンツにチャレンジした教室がたくさんあったことです。
楽器やダンスのマンツーマンレッスンなどは、今後もオンラインを続けていく方針を打ち出している教室もあり、すでに「オンラインレッスン」が、カテゴリとして認知されつつあります。
スクルーではオンラインレッスンプログラムも掲載している
うめざわ
習い事には語学など学習系もあれば、音楽系やスポーツ系などいろんなジャンルがあります。
最近で、親御さんの子供の習い事に対するニーズに変化はありましたか?このジャンルが人気になったとか。
スクルー 犬塚さん
親御さんにとっての、根本的なニーズは変わっていないですね。
ただ傾向を見ると、選択肢がとても多様になっています。
音楽でも「ピアノかバイオリン」ではなく和太鼓もあるとか、演劇と絡めて教える、とか。スポーツでもいろんな種目があります。サッカーはサッカーでも、英語でサッカーを教えます、というように。
うめざわ
なるほど。聞いただけで面白そうですね!
習い事が多様化している現在、選ばれる教室の特徴はなんですか?
「個性」がある教室が選ばれる
英語でサッカーを習う教室。身体を動かしながらだと、英語学習の定着率も上がるのだそう
スクルー 犬塚さん
「個性」がある、「独自のコンセプト」がある教室が選ばれています。
スクルーでは体験した方のレビューをいただいているのですが、そういう教室はレビューも好評です。
「楽しくみんなで習います」というような内容ですと、抽象的で差別化が図れないですよね。
うめざわ
たしかに。教室を選ぶ側も、その教室を選ぶ理由が見つけられないということですよね。
スクルー 犬塚さん
また、教室の見せ方の部分でも、すごく丁寧に文章、画像、動画で説明されています。
写真はとっても重要です。たくさんあったほうがいいですね。教室の雰囲気がわかるもの、華やかさがあるものが良いと思います。
ダンス系で、ありがちなこととしては、ステージの写真ばかり掲載されていて、雰囲気がちょっと重くなってしまうことです。
アート教室さんなんかは見せ方がうまいところが多いですね。
うめざわ
参考にさせていただきます!
アート教室掲載ページの例。体験してる子供たちの表情がよく伝わってくる
うめざわ
最初の第一歩については、
・教室の個性を明確にする
・内容を丁寧に伝える
がポイントということでした。
続いて、習い事が「継続する」ということも大事だと思いますが、継続する習い事教室に特徴はありますか?
継続の秘訣は「親御さんへのフィードバック」にあり?
教室の様子を伝えることが子供の習い事継続にも伝わる
スクルー 犬塚さん
「親御さんへのフィードバックがある」教室が、継続しやすい傾向があると思います。
入会するときだけ教室に来て、あとは子供だけ通わせる、という親御さんが多いですが、一方で親御さんには「教室でちゃんとできているか?」という疑問や心配が常にあります。
月に一回でも、写真と一言コメントを送るなど、手間はかかりますが、結果を親御さんにうまくフィードバックしているところは、生徒さんの継続につながっていますね。
うめざわ
教室の様子も分かって安心ですし、そうして連絡を取ってくれる教室は、何かあったときに親御さんも相談しやすそうですよね。
スクルーは生徒を教室に紹介して終わりではなく、その後の教室の運営もサポートするため、習い事教室向け生徒管理サービス「スクの助」を提供している。「フィードバックと継続の関係性」も、このサービスから得られた知見だ。
「いろんなものを試して好きを探す」傾向
基礎的な運動能力を高めることに着目した教室。これも選択肢を持とうとする流れの一つの表れだろう
うめざわ
今後の子供の習い事マーケットは、どのようになるとお考えですか?
スクルー 犬塚さん
いきなり何を習うか決めて始めるのではなく「いろんなものを試していく」という大きな流れができると思っています。
例えばその表れとして、スポーツでいえば、いきなり何かの種目を選ぶのではなく、その手前でベースとなる基礎的な運動能力を高めます、というレッスンが増えています。
うめざわ
なるほど。それは興味深いですね。その背景には何があると思いますか?
スクルー 犬塚さん
日本だと、伝統芸能に限らず、師匠がいて、弟子がいて、月謝を払って教えていただく、という風潮が強いですが、最近はより「体験を楽しむ」という方にシフトしてきていますね。
ヨーロッパやアメリカではすでにそういう、いろんなものを試すという文化があるんですよ。夏はこれやって、冬にはこれやって、という。
日本もそういった流れが入ってきているのだと思います。
その背景には衝撃的なアンケート結果が・・・
スクルー 犬塚さん
スクルーでは利用者の方にアンケートを取っていますが、親御さんの過去の習い事の経験を伺うと、半分が「イヤイヤ習っていた」と回答しているんです。
うめざわ
それは衝撃的な結果ですね。
スクルー 犬塚さん
習い事市場は子供だけでも1兆円くらいある大きな市場なんです。その半分、5,000億円がイヤイヤやっていることに使われているということになります。
これは変えなければならない。
「これをやりたい、これを上手になりたい」ということに対して根性を使うのはいいんですが、親がやらせるから、イヤイヤ続けるのに根性を使うのは、すごくもったいないです。
うめざわ
そのために、いろんなものを子供に試させて、体験させて、自分に合うものを選ばせてあげたい、という意識が強くなっているんですね。
スクルーさんのコンセプトとも通じるところですね。
スクルー 犬塚さん
はい、まさに私たちはそこをやりたくて。
日本舞踊教室がアピールしていくには?
うめざわ
今までのお話でもかなりヒントをいただけた気がしますが、これから日本舞踊がアピールしていくために、アドバイスをいただけますか?
スクルー 犬塚さん
まず、いかにハードルを下げるか、敷居を低くできるかがポイントになると思います。
親も含めてやったことがない場合、なかなか行ってみようという気になりにくいんですね。
また、1回目の体験レッスンでは、すぐに入会するしないを判断させるプレッシャーを感じる方が多いので、例えば1ヶ月間1万円で体験する、というような短期間で完結するプログラムを用意することも有効かもしれません。
スクルー 犬塚さん
実際、そういう短期プログラムがあったほうが、新しいものを始めるには、非常にハードルが低くてやりやすいという意見もあります。
まず第一歩、日本舞踊に触れる機会として、そういうものを準備するとよいのではないでしょうか。
うめざわ
ありがとうございます。
通常は、1回体験や見学をして判断することが多いと思うのですが、じっくり1か月で複数回体験して相性を確認しましょう、ということでしょうか?
スクルー 犬塚さん
そういうやり方もありますが、最近人気があるのは「完結を前提としたプログラム」ですね。
入会前提ではないプログラムのほうが、接点は増えると思います。
うめざわ
なるほど。
「入会までのお試し期間が1か月ですよ」ということではなく、例えば「1か月で日本舞踊の基本を習ってみましょう」みたいなプログラムですね。
短い曲を一曲覚えてみて、そこで「日本舞踊ってこういうものなんだ」と掴んでもらえることをゴールにする、というような。
スクルー 犬塚さん
はい。1か月ではなく1日でも良いのですが、そういうスッキリ受けられるプログラムがあったほうが申し込みは確実に増えると思います。
うめざわ
生徒さんを増やしたい教室としては、おそらく「入会前提で体験してほしい」という気持ちが強いと思います。
一方で「いろんなものを試したい、体験したい」「そこから子供に合ったものを選ばせてあげたい」という大きな流れを意識すると、入会するしないを意識せず、短期間でその良さを体験できるプログラムがあったほうが、日本舞踊をやってみようという人は増えるということですね。
うめざわ
旅行先で参加する「文化体験」などに近い感覚ですね。
旅行の時は特別体験ですけど、そういうコンテンツが日常になり、そういう体験の中から習い事も選ぶという。
スクルー 犬塚さん
そうですね。近いと思います。京都に行ったら1日着物体験をするような。
親としても、子供に日本の文化をちゃんと体験させたい、っていうのは絶対あると思います。
そういう期待に応えるのであれば、完結型のプログラムはあった方がいいと思います。
「成功体験」を積んでほしいから・・・伝統文化のような習い事こそ、紹介したい
スクルーでは「ユニークな体験をしよう」というテーマで弓道、茶道、木目込人形などが紹介されている。
うめざわ
スクルーの特徴や取り組みもぜひ伺っていきたいです。
スクルー 犬塚さん
伝統芸能はメジャーな習い事ではないかもしれませんが、私たちはそういう習い事こそ、紹介していきたいと思っています。いまも伝統文化系の習い事をサイトのTOPページに表示しています(2021年3月時点)。
スクルーを訪れる親御さんの約半数が「なにを習わせたいか決めていない」んです。そういうご家庭にぜひ、日本舞踊を体験してほしいですね。
うめざわ
ありがとうございます!心強いですね。
なぜ、伝統文化などを紹介したいとお考えなのですか?
スクルー 犬塚さん
私たちには「子供たちに成功体験を積んでほしい」という思いがあります。
そのためには選択肢がたくさんあったほうがいいんです。
競技人口が多いところだけだと、ライバルが多すぎて、一番になろうと思っても難しいし、成功体験を積むことも難しいじゃないですか。
スクルー 犬塚さん
だから、私たちはなるべく幅広い選択肢を用意して、子供たちが活躍できる、成功体験が積める場所に出会ってほしいんですね。
ですので、サイトでは伝統文化も積極的に紹介しています。
うめざわ
なるほど!
スクルー 犬塚さん
教室は掲載無料で、費用はまったくかからないので、ぜひスクルーに参加してほしいですね!
うめざわ
今回、子供の習い事市場で「いろんな習い事を試して選びたい」「いろんなものを体験したい」という大きな流れがきていることを教えていただきました。
また、それを踏まえて、選ばれる教室の特徴や、気を付けるべきポイントなども伺うことができました。日本舞踊教室の先生方に有益な情報をお届けできたのではないかと思います。
本日は、どうもありがとうございました!
取材を終えて
スクルーは「子どもの“好きなこと”が見つかる習い事体験」を提供している。「いろんなものを試したい、体験したい」という大きな流れの、さらにその背景には、半分の人が過去に「イヤイヤ習い事をしていた」というショッキングな事実があった。
そうならないために「いろんなものを体験させたい」というのは起こるべくして起こった流れだろう。
「たくさんの体験をさせたい」と親御さんが考えていることは、日本舞踊にとってチャンスでもある。体験の幅が広がるということは、それだけ日本舞踊に触れてもらえるチャンスも増えるからだ。
スクルーが伝統文化にも積極的に光を当てようとされていることも心強い。あとはスクルーのようなサービスとも協力しつつ、私たちが親御さん・子供目線で魅力的なコンテンツ、場をいかに提供するかだろう。