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長唄「供奴(ともやっこ)」歌詞と解説

長唄「供奴(ともやっこ)」歌詞と解説

日本舞踊で人気の長唄「供奴(ともやっこ)」の歌詞と解説です。

「供奴」を初演した中村芝翫

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菊五郎劇団によって1950年代に録音された貴重な音源です。現代の演奏・録音にはない味と、骨太の演奏をぜひお聴きください!

長唄「供奴(ともやっこ)」の解説

廓通いのご主人のお供をする、少しおっちょこちょいだけどご主人が大好きなの「奴(奉公人)」の様子を描いた作品です。

「供奴」とは、主人のお供をする奴、という意味です。奴とは下働きをする使用人、奉公人のこと。

「供奴」に出てくる奴さんは武家に仕える奴で、吉原へ廓遊びをしに行く主人のお供をしています。出るのが遅れてしまった奴さんは提灯を持って主人を探し回ります。ご主人が大好きな奴さんは、探しながら主人の自慢話をしたり真似をして踊ったり。ついには主人のいる揚屋(あげや。上流遊女と会う場所で、茶屋よりも格上)の前を通り過ぎて行ってしまいました。

2世・瀬川如皐作詞,10世杵屋六左衛門作曲。「拙筆力七以呂波 (にじりがきななついろは)」の中の一曲。振付は西川扇蔵ら。文政 11 (1828) 年3月江戸中村座で,中村芝翫(しかん) によって初演されました。芝翫の当り芸の一つで「芝翫奴(しかんやっこ)」ともいわれています。

長唄「供奴(ともやっこ)」の歌詞

仕て来いな(してこいな) やっちゃ仕て来い今夜の御供 ちっと後れて出かけたが

足の早いに 我が折れ田圃(たんぼ)は近道 見はぐるまいぞよ 合点(がってん)だ

振って消しゃるな台提灯に 御定紋付でっかりと

ふくれた紺のだいなしは 伊達に着なしたやっこらさ

武家の気質や奉公根性 やれさていっかな出しゃしょない

ひびやあかぎれかかとや脛に 富士の雪程あるとても

何時限らぬ お使ひは かかさぬ正直 正道者よ

脇よれ 頼むぞ 脇よれと 急ぎ廓へ 一目散 息を切ってぞ駆け付ける

おんらが旦那はな 廓一番隠れないない

丹前好み 華奢に召したる 腰巻羽織 きりりとしゃんと しゃんときりりと

高股立の袴つき 後に下郎がお草履取って それさ これさ

小気味よいよい六法振が 浪花師匠のその風俗に 似たか 似たぞ 似ましたり

さてさてな 寛濶華麗(かんたつかれい)な出で立ち

おはもじながらさる方へ はの字となの字を謎かけて ほどかせたさの八重一重

解けてうれしき下ぶしに アアままよ 仇名がどう立たうと

人の噂も七十五日 てんとたまらぬ 露のけはひの初桜

見染め見染めて 目が覚めた 醒めた夕べの拳酒(けんざけ)に ついついついついさされた杯は

りうちえいぱまでんす くわいと云うて払った

貼った肩癖ちりちり身柱(ちりけ)亥の眼灸(やいと)がくっきりと

ねぢ切からげた千鳥足 手ッ首掌しっかと握った

石突 こりゃこりゃこりゃこりゃ成駒 やっとこよんやさ

面白や 浮かれ拍子に乗りが来て ひょっくり旦那に捨てられた

うろたへ眼で提灯を つけたり消したり灯したり 揚屋が門(かど)を行き過ぎる

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