「古典作品」をそのまま理解してもらうのは無理筋だと思う件。対案は・・・

「古典作品」をそのまま理解してもらうのは無理筋だと思う件。対案は・・・

「日本舞踊をもっとたくさんの人に知ってほしい」

日本舞踊を楽しんでいる人、仕事にしている多くの人がそう考えていると思います。私もその一人です。

一方で、私は「古典作品」をそのまま見せても、日本舞踊が初めての人に理解してもらうのは難しいと考えています。

この記事では、なぜ古典作品が理解されないのか、そして、日本舞踊を理解してもらうための対案を考えます。

日本舞踊の古典作品が理解されない理由

これは私が始めて日本舞踊を鑑賞したときの感想です。

・歌詞が聞きとれない
・意味が理解できない
・音楽にノれない

もちろん、踊りは楽しみつつも、「なにを言ってるんだろう?」、「どういうストーリーなんだろう?」、「なにを表しているんだろう?」と、どうしても気になってしまいます。

「古典」は文字通り、過去に作られた作品を継承してきたものです。音楽様式、言葉、表現方法など、時代によって、じゃっかん変化してきてはいますが、基本は昔のままです。現代人には馴染みがなくて当然、理解されなくて当然と言えます。

踊り・音楽・ストーリーにわけて、現代人の馴染みやすさを検証

ここで、原因をわかりやすくするために、日本舞踊をいくつかの要素に分解してみたいと思います。

「踊り・音楽・ストーリー」に分け、現代人にどれだけ馴染みがあるのかを見てみましょう。馴染みがある要素が多いほうが、受け入れてもらいやすいはずです。

日本舞踊・新日本舞踊・現代JPOPを比べてみたら

さらに、より分かりやすくする為に、日本舞踊と新日本舞踊(ここでは演歌や歌謡曲で踊るタイプの舞踊を指すものとします)、JPOPの3つを比較検討してみます。

一言で「馴染みがある」と言っても、世代によって感じ方は異なるので、おおむね30代くらいの人を想定して考えてみます。

比較検討したものが以下の図です。

日本舞踊は、踊り・音楽・ストーリー、いずれも現代人には馴染みのないものです。歌詞は聞き取れず、聞き取れたとしても古語ですから意味はほとんど拾えません。

新日本舞踊は、音楽に演歌や歌謡曲を使用します。いまの若年層に馴染みがあるかと言えば微妙なところかもしれませんが、中高年には馴染みがありますし、若年層とて、聞けば意味は理解できます。

現代JPOPはもちろん時代の最先端であり、現代人にとっては最も馴染みやすいものでしょう。

対案・ストーリーに馴染みのある作品を作ったら?

以上、やや乱暴な分析ではありますが、大枠は捉えていると思います。

ここからは、私なりに日本舞踊を現代の人にも理解しやすくするアイデアです。

結論は、「ストーリーを馴染みのあるものにする。」

例えば「桃太郎」のような昔話や、地域の名産・名物のようなものをテーマに作品作りをしてみてはどうか、ということです。

踊り・音楽・ストーリーの中で、馴染みやすいものが多いほど、理解されやすく、結果、良さを理解してもらえることになります。

しかし、「変えてしまうと、日本舞踊が日本舞踊でなくなる」ものがあれば、それは変えてはいけません。私の個人的な意見では、それは「踊り」と「音楽」ではないかと思います。

「踊り」=「身体表現」は日本舞踊のオリジナルなものであり、変えると日本舞踊ではなくなってしまうと考えます。また、「古典」を標榜するのであれば、古典の様式にのっとった音楽も外せないと考えます。

「踊りと音楽を古典の様式にのっとる」と、ここまでを前提とするなら、残るのは「ストーリー」です。

古典作品たちは多くは江戸時代に作られたもの、またはルーツがあるもので、当時流行した歌舞伎や、世間を騒がせたスキャンダル、街の人々、または中国、日本の故事などをテーマにしており、当時の人々にとってはその多くが「周知の事実」「誰もが知ってるレベル」だったと思います。

とはいえ、現代人にとっては予備知識なしで理解できるものは、ほとんどないと言っていいでしょう。

「意味が分からないから楽しめない」これこそが鑑賞の高いハードルです。

誰もが知っているテーマを題材に作品を作ったら?

それでは、誰もが知っているストーリーやテーマを取り上げて、古典様式で作品を作ったらどうでしょうか。

例えば昔話の「桃太郎」や「かちかち山」、地域の名産、名物を取り上げるなどです。

作品を見る前から、作品の意味を知っているわけですから、作品の意味理解に時間を割く必要がなく、内容が理解できないストレスもありません。純粋に踊りと音楽に集中できます。

日本人に共有されている物語やテーマは普遍性があり作品としても魅力

昔話は長年にわたって語り継がれているものであり、「成功譚」「恩返し」「無常観」「復讐劇」「親子愛」など人間社会に普遍的なテーマも多く、作品としても魅力的になる可能性があります。

地域の名物、名産なども、昔も今も人々の関心が高く、話題に上るテーマです。ややCMチックになるかもしれませんが、かつて六八コンビ(中村八大と永六輔が全国のご当地ソングを作っている)が挑んだように、各地の名所・旧跡や、名物を踊りにするのも良いかもしれません。

テーマを選ぶだけではなく、歌詞も平易に、聞き取りやすく、踊りも分かりやすくするなどの工夫も必要だと思います。

日本舞踊の魅力を知ってもらうという目的に立つとき、初めて見る人が分かりやすく、作品としても面白いのが理想だからです。

理解されたくば、理解される工夫が必要

以上が私なりのアイデアですが、他にも方法はあると思います。

そもそも古典作品を知った上で理解してほしいというのが、「俺の日本舞踊」の目的の一つでもあります。

しかし日本舞踊の魅力を伝える方法は、今回提示したアイデアのように、もっとたくさんあるはずです。みなさんもいいアイデアがあったらぜひ、教えてください。

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