端唄「柳の雨」歌詞と解説
日本舞踊でおなじみの、端唄「柳の雨」の歌詞と解説です。
端唄「柳の雨」の解説
幕末から明治にかけて実在した「お吉(通称、唐人お吉)」を歌った唄です。作詞は長田幹彦/西條八十、作曲は佐々紅華。
幕府役人の強い要請により、初代アメリカ総領事のハリスの侍妾となった下田の芸者・お吉。当初、人々はお吉に対して同情的でしたが、お吉の羽振りが良くなっていくにつれて、次第に嫉妬と侮蔑の目を向けるようになります。
ハリスの容態が回復した後、お吉は解雇され再び芸者となりますが、人々の冷たい視線と差別的な態度は変わりませんでした。この頃からお吉は酒に溺れるようになります。
元々結婚予定だった幼馴染と一緒になったり、お吉に同情的であった船主によって料亭を開いたりするも、すでに重度のアルコール障害に陥っていたお吉。幼馴染とも別れ、料亭も2年足らずで廃業。物乞いにまで身を落としたお吉は48歳のとき、豪雨の中、自ら川に身を投げ最期を迎えます。時代に翻弄された悲劇の人お吉が偲ばれる一曲です。
端唄「柳の雨」の歌詞
行く水に 雨はそぼ降る 河岸の灯よ
かさが二つに 人影も
更けて淋しき あの流し
「籠で行くのは お吉ぢゃないか
下田港の春の雨
泣けば椿の花が散る」
あれ 糸の音も忍び音に
柳は泣いているわいな

