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地域スポーツクラブと日本舞踊

地域スポーツクラブと日本舞踊

「地域スポーツクラブ」を聞いたことがありますか?

この記事では地域スポーツクラブと日本舞踊の可能性について紹介します。

(地域スポーツクラブは全国に数千クラブが存在し、そのあり方は多様です。ここで紹介する地域スポーツクラブの特徴が必ずしも当てはまるわけではありません)

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地域スポーツクラブとは

地域スポーツクラブとは、ざっくりいうと、地域住民によって運営され、スポーツや文化の講座を持ち、その活動を通じて住民が交流したり、運動、文化芸術を楽しむものです。スポーツ基本法や国のスポーツ基本計画により設立・育成が推奨されています。

引用:文部科学省HPより

例えば、株式会社生活と舞踊がある東京都中央区には、「中央区地域スポーツクラブ大江戸日本橋・京橋」と、「一般社団法人中央区地域スポーツクラブ大江戸月島」の二つの組織が地域スポーツクラブを運営しています。

地域スポーツクラブにはどんな講座があるの?

講座は、多種多様です。以下に一例を挙げます。

・かけっこ
・サッカー
・スイミング
・ヨガ
・瞑想
・吹奏楽
・テニス
・スケートボード

スポーツだけでなく、文化活動も含まれます(地域、団体によっては、スポーツだけ、それもサッカーだけ、など、ばらつきはあります)。

民間のスポーツジムや習い事は違い、地域の誰でもが参加できるよう、参加しやすい費用、過度に年齢や経験などの条件をつけない、など地域に開かれたプログラムになっています。主催者側は、プログラム提供に伴って自治体から場所や広報などの支援を受けることができます。

地域スポーツクラブのねらいは地域の課題解決

地域スポーツクラブの背景には、地域住民の交流促進や、健康・文化活動の推進などのねらいがあります。

若く、収入も多く、家族や会社など交友関係も豊富な人であれば、あまり必要性を感じないかもしれません。しかし、例えば、高齢で収入が限定され、一人暮らしをしており、外に出る用事もないような方、共働き家庭で放課後の居場所がない児童、こういう人にとっては、地域スポーツクラブは大切な場所になります。もちろん、そうでない人にとっても、地域の人とつながりながらいろんな活動を楽しむことができるものです。住民同士の交流によってネットワークができることは、ただ楽しいだけではなく、万が一、災害が起こった時の備えにもなります。地域スポーツクラブは、地域の課題を解決する存在なのです。

地域スポーツクラブで日本舞踊を

日本舞踊教室は地域でローカルビジネスをしています。

日本舞踊の先生、地域スポーツクラブで講師をしてみてはいかがでしょうか?地域の子供たち向けに、大人向けに、シニア向けに。本格的な日本舞踊というよりは、誰でも楽しめるプログラムで、夏は盆踊り講座なども良いかもしれません。大きな仕事にはならないかもしれませんが、教室へ入ってくれる人も出てくるかもしれません。

部活動の地域移行にもつながるか

また、地域スポーツクラブでの実績は、「部活動地域移行」にも繋がってくる可能性があるのではないかと思っています。部活動地域移行は、これまで学校が行っていた部活指導を、地域のスポーツクラブなどへ移行しようというもので、2023年度から中学校の運動部から段階的に始まっています。少子化によって、学校で活動に十分な生徒数がいない、教員の働き方改革で、実質ほぼ先生方のボランティアによって成り立ってきた部活のあり方を見直そう、というようなことが背景にあります。

いまある部活動を地域にいる組織や指導者へ移行すること以外にも、地域発で新しい部活を作ることもあり得ます。地域スポーツクラブでの実績は、学校側の信頼に繋がりますし、ノウハウも、部活動へ応用できるでしょう。

地域スポーツクラブの講師になるには

まず地元の地域スポーツクラブを探して、問い合わせるところからです。

自治体HPに連絡先が載っている場合もあります。申請方法などを確認して手続きを進めてください。その際、どのようなプログラムにするかという企画はもちろん、指導歴などもまとめておくことが有効です。

地域スポーツクラブの講師になるためのステップ
*クラブにより異なる場合があります。

・地域スポーツクラブを探す
・開講までの手続きや審査条件などを確認
・プログラム企画
・申請書類作成・提出
・体験会の開催
・開講決定
・集客など開講準備
・開講

地域スポーツクラブの報酬

プログラムの開講にあたって気になるのが収入です。代表的なパターンとしては以下の通りです。

多くの場合、プログラムに参加した人の参加費が講師の収入となります。大きなクラブでは雇用や業務委託契約を結ぶこともあるようですが、受講生がかなり多いなど特殊な場合で、多くの場合はプログラム参加費に直接依存します。

参加費はおおむね、一回一人あたり数百円から1000円程度。

一回あたりの見込み売上は数千円から1万数千円というところでしょうか。そこから一部をクラブに納め、残りが講師tの収入となる、というパターンが多いようです。

報酬面については活動の継続性に関わるところなので、よく確認してください。

地域スポーツクラブの集客

地域スポーツクラブがHP等を使って集客を支援してくれます。しかし開講すれば必ず参加者が集まるわけではありません。講師もなんらかの自助努力が必要でしょう。打ち出し方、プログラムの内容、開講時間など、クラブ側との相談や、参加者の声を聞きながら改善していくことも必要です。

また、新年度に合わせて集客に力を入れる、友達を誘いやすいような工夫をする、飽きずに継続して通えるような内容にする、など年間を通した計画やプログラムの改善も必要になるでしょう。

自分の仕事に地域スポーツクラブをどう位置づけるのか

地域スポーツクラブについて解説してきました。地域スポーツクラブで教えてみたいと思った先生は、ご自身の活動の中で地域スポーツクラブをどう位置付けるかということが重要になります。ここまで見てきたように、地域スポーツクラブは大きく収入が期待できるものではなく、地域に根付いた活動となるにはある程度の時間もかかるものです。

地域スポーツクラブ自体を収入の一助として取り組むのか、地域貢献として取り組むのか、教室集客の一つとして取り組むのか…人によって目的とその優先順位は異なると思いますが、ある程度それを明確にしたうえで、地域スポーツクラブへの提案を行うことが重要だと思います。

まとめ

地域スポーツクラブは、地域住民が各種スポーツや文化活動を通じて交流する場で、住民が開かれたプログラムに参加できるよう設計されています。日本舞踊の先生にとっては、地域貢献、収入源、教室集客の一つとして、地域スポーツクラブで講師となるのが有意義なことかもしれません。また、部活動の地域移行が進行中で、地域スポーツクラブでの実績が新しい部活動の創設に活かされる可能性もあります。

地域スポーツクラブは公益性の高い活動で、収入の柱としての活動にはなりにくいものです。取り組む際は、地域貢献の気持ちを持ち、何のために地域スポーツクラブで活動するのかの位置づけを特検討されることをお勧めします。