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カセットをデジタル化してみたら、みんなに喜ばれました【スマホでお稽古】

カセットをデジタル化してみたら、みんなに喜ばれました【スマホでお稽古】

この記事では先日、プロの音響の方と日本舞踊の先生と共同で行った「デジタル音源+スマホでお稽古してみよう」という企画を紹介しています。いまカセットテープでお稽古を行っている方にはぜひ読んでいただきたい内容です。

この記事では、次のようなことがわかります。

・カセットをデジタル化する手順

・デジタル化のメリット

・デジタル化した音源を使い、スマホでお稽古する方法

・実際にお稽古してみた結果

あなたのお稽古場ではカセットテープを使っていますか?日本舞踊教室では音源の再生にカセットを使っているところが多いですよね。使い慣れている便利さがある一方で、こんな悩みを抱えているお稽古場があります。

・ダビングを繰り返して音が劣化して聞きづらい

・最近、家電屋さんでカセットデッキを買えない

・デジタル音源にするのはお金もかかるし、めんどくさそう

・とはいえ、そのうちカセットもなくなるだろうし、どこかで切り替えないと・・・でもどうしたらいいの?

そんな疑問を解決すべく、今回の企画を実行しました。

スマホでできたら、便利&質も高くなるはず!?

私の知り合いにダンスインストラクターの先生がいるのですが、その先生にダンス教室は音楽をどうやって流しているのか聞いたところ、ダンス教室ではみんな、スマホでYouTubeで音楽を探し、そのままネットで音楽を買って、Bluetoothスピーカーで再生してレッスンをしているとのこと。カセットやCDを使っているところはもうないよ、と言っていました。

日本舞踊教室も、みんなスマホでできたら便利なはず。ダンス教室がそうなっているのだから、同じようにできるんじゃないの?

そのためには、「音源のデジタル化」が必要です。

そしてデジタル音源ならカセット音源のノイズを取ったり、音のバランスを踊り手に合わせて調整することもできるので、今以上に便利で質の高いお稽古環境が作れるかもしれません。

試しにやってみよう、ということで、さっそく知り合いに声を掛けました。

企画にご協力いただいたお二人

音響の百合山真人さん

「伝統を、先人の想いとともに受け継ぐ」ことをテーマに、オープンリールの邦楽音源デジタル化プロジェクトに取り組まれています。演劇で海外留学経験があり、歌舞伎座のツケ打ちや、舞台音響、音楽制作のお仕事をされている、この道のプロです。

百合山さん取材記事「日本舞踊アナログ音源・数千曲のデジタル化プロジェクト」

日本舞踊教室運営:若柳喜美奈(きみな)先生

横浜で日本舞踊教室を開いてらっしゃいます。日大芸術学部出身、正派若柳流師範。いまはお稽古はすべてカセットテープで行っています。

若柳喜美奈(きみな)先生取材記事「日本舞踊にはいろんな「楽しい」が詰まってる」

横浜の喜美奈先生の教室にお邪魔しました

現在、お稽古で使用されているテープをお借りしました。今回はカセットテープ5本、演奏時間はトータルで30分ほどです。

専用デッキを使いカセットのデータをパソコンへ取り込む

百合山さんがお持ち専用のデッキを使ってパソコンへ音源を取り込みます。デジタル化することでこのあとノイズ除去や、音質の調整がパソコン上でできるようになります。取り込みはカセットを実際に回して、再生時間と同じ時間がかかります。

ノイズ除去・音のバランス調整

取り込んだ音源の波形をパソコンで見たところです。ここからパソコンの音楽編集ソフトを使ってノイズを取り除いたり、音のバランス調整をしていきます。

いくつかのテープを再生してみると、録音によって、音のバランスにばらつきがあることがわかりした。

百合山さんいわく、音を聞くと、音のバランスで、三味線を強調したかったのか、声を強調したかったのか、バランスよく録りたかったのか、など音源を制作した人の意図が分かるのだと言います。

そしてそれを踏まえてここからは、踊り手の好みに合わせてバランスを調整していきます。三味線を強くしたり、声をより際立たせたり、残響を強くしたり弱くしたり。

実際の調整の様子

パソコンで調整する様子です。音のバランスを変えると音がどう変わるのか、ぜひ実際に聞いてみてください。

波形と音を耳で聞きながら調整していきます。

ノイズの除去も、やりすぎると聞きたい音まで削ってしまうことになります。調整も、どこを強調するのか、好みや踊りやすさなどを話しながら進めていきます。

今回は一部、踊りの出のタイミングになる三味線の音を際立たせる調整を行い、その他は大きなバランスの変更はせず、全体にノイズ除去を行って、デジタル化の作業は完了しました。ここまでの所要時間は打ち合わせも含めて約2時間ほど。

スマホに音源をインストール

次に、デジタル化と調整が完了した音源を、スマホに保存します。今回はiMac、iPhone同士でデータのやり取りができる「エアードロップ」という仕組みを使ってデータを送りました。iPhoneでなくても、メールなどで音源データの共有が可能です。

音楽プレイヤーアプリをインストール

スマホで音楽を再生するためのアプリをインストールします。今回はiPhone用のこちらのアプリを使用しました。

このアプリを選んだ理由と特徴

・マーカー機能がついている
→音楽のキリの良い場所にマーキングしておくと、すぐにそこから再生することができる。
・再生速度の調整が可能
→慣れないうちは再生速度をゆっくりにして練習することができる
・無料で使える

他にもよいアプリがあると思うので、皆さんがより使いやすいものを探してもらってもいいと思います。

Bluetoothスピーカーから再生してみた

今回スピーカーはBluetoothスピーカーを使用します。「Bluetooth」とは、無線の技術の一つで、ケーブルでつながなくても、スマホで再生した音を無線でスピーカーから流すことができます。

やってみると、なかなかいい感じです!

音がクリアに、大きく流れます。

実際に稽古してみる

さて、いよいよお弟子さんがいらっしゃって、デジタル音源でのお稽古スタートです。

お弟子さんにはあらかじめ、今回の企画を説明しています。

実際のお稽古の様子。音もしっかり出ていますね。

お弟子さんの感想

実際にデジタル音源でお稽古してみた感想は・・・

・音がきれいで聴きやすい
踊りやすい!
・巻き戻しの時間がないので、たくさん踊れます
・一息つく暇がなくていつもより疲れた笑

みなさんに大好評でした。

再生、一時停止、早送り、巻き戻しなどの操作はすべてスマホで行います。最初は慣れない操作に少し戸惑いもありましたが、だんだん慣れると迷わずに操作できるようになりました。普段からスマホを使っているので、初めてのアプリでもなんとなく操作がわかり、慣れるのが早かったようです。

喜美奈先生からも、「お稽古のモチベーションが上がります」と高評価を頂くことができました。

課題はある?

この数日後にも喜美奈先生からも、追加で感想をいただきました。

いいこと尽くしのデジタル化企画でした。この記事を読んで、じゃあ私の稽古場でも!と思ってくださった先生もいらっしゃるのではないかと思います。しかし、このデジタル化について、課題はないか考えてみました。

きちんとやると時間がかかる

単純にデジタル化するだけだったらそう難しくはないですが(そういう機械も売ってます)、今回のようにノイズ除去や音のバランス調整をして質の高い音源にするためには、百合山さんのような専門家に依頼し、自分の好みの音のバランスなどを調整する、打ち合わせ時間が必要です。

スマホ操作に慣れよう

先生の中にはあまりスマホの操作に慣れていない方もいらっしゃると思います。

Bluetoothスピーカー?なにそれ?という人もいるかと思います。これらの新しい機器やツールに慣れてもらう必要があります。

最初はどうしても、慣れが必要ですね。個人的な感覚ですが、LINEが使えれば充分できると思いますし、最初だけでも若い人のサポートなどがあれば使えるようになりますよ。スマホが苦手ならタブレットのような画面の大きなものの方が操作はしやすいと思います。

デジタル化したい人は?

持っているカセットをそのままデジタル化するだけなら、3,000円ほどで機械を購入できます。mp3という形式のデジタルデータに変えることが可能です。

その際のメリットは安く済むことですが、デメリットとしてはノイズ除去やバランス調整ができないことになります。

今回のように、ノイズ除去や音のバランス調整までしたい人は、専門家に依頼する方が良いでしょう。デジタル化専門の業者さんもありますし、百合山さんもデジタル化のサービスを行っています。記事の最後に紹介しますね。

まとめ

・カセット音源をデジタル化してスマホとBluetoothスピーカーでお稽古してみました

・デジタル化することでノイズ除去、音のバランス調整ができました

・実際にお稽古してみて、「踊りやすい」「音がきれい」「便利」「お稽古のモチベーションが上がる」などメリットがありました。

・専門の人に頼む場合、自分の好みなどをすり合わせる時間が必要

以上がカセットのデジタル化企画のまとめです。

百合山さんがデジタル化「ご縁=5円キャンペーン」をやっています

【限定20名】初回訪問・カセット30分までの音源デジタル化を「5円」で

百合山さんは邦楽のデジタル化プロジェクトを実行されているなど、伝統文化の継承に取り組まれています。

デジタル化のメリットを知ってほしいということと、たくさんの日本舞踊の先生と知り合いになりたいということで、デジタル化の初回訪問とカセット30分までの音源デジタル化を「5円(=ご縁)」でやってくれるそうです。

そして、ノイズ除去とバランス調整、アプリの使い方のレクチャーも込みです。打ち合わせも含めて2時間くらいはかかるので、5円で元が取れるわけはないのですが、たくさんの先生とご縁をいただきたいということで、5円だそうです笑

もちろんこれだけだと百合山さんが大赤字なので、やってみて、いいと思ったら追加でデジタル化を頼んであげてください。それでも1時間あたり1,100円だそうなので、調べてもらえれば分かりますが、ノイズ除去・バランス調整込みでこの値段はどこよりも安いです。

記事内にあった専用の機器とパソコンを持って、ご自宅まで行ってくれるということなので、みなさんはどのテープをデジタル化したいか、30分以内で選んでおけば大丈夫です(首都圏以外の方は交通費別途)。

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