長唄「傀儡師(かいらいし)」歌詞と解説

長唄「傀儡師(かいらいし)」歌詞と解説

日本舞踊で人気の長唄「傀儡師(かいらいし)」、歌詞と解説です。

西宮傀儡師 摂津名所図会

長唄「傀儡師(かいらいし)」解説

傀儡師とは?

平成の傀儡子 人形芝居えびす座 藤井克己氏撮影

傀儡師(かいらいし)とは、人形使いの芸人さんのことです。「くぐつし」また、芸の最後には、山猫の皮でできた子猫ほどの人形で子供たちを追い回す、という締めくくりであったとされることから「山猫」などとも呼ばれました。

傀儡師は浄瑠璃のルーツで日本舞踊にも大きな影響

傀儡師は古く平安時代から存在したといわれ、街をまわり、お屋敷に呼び入れられて芸を披露したり、街中で今でいう大道芸人のように人形使いを見せて、商売していました。

庶民だけでなく貴族にも愛された傀儡師の人形使いは、のちの人形浄瑠璃のルーツとなり、能、歌舞伎、そして言わずもがな、日本舞踊に大きな影響を与えています。

からくり 御伽傀儡師 一筆斉文調

長唄「傀儡師」の内容と意味

とあるお屋敷の女中さんに呼び入れられた傀儡師が、人形回しの芸を披露する、というストーリーです。

「浮世の業や〜可笑しけれ」までが、傀儡師が屋敷へ呼び入れられて人形回しの準備をするところです。

「小倉の野辺の〜」からが、人形回しの内容で、恋愛、結婚、そして三人の子宝に恵まれる、というストーリーを、和歌や同時流行った歌曲を取り入れて綴っています。

最後は「箱の内にぞおさめける」で、箱に人形を納めると同時に、物語もめでたしめでたしと終わりを迎えます。

外記節三部作とは?

傀儡師は「石橋(しゃっきょう)」「外記猿」という作品と並んで、「外記節(げきぶし)三部作」の一つと言われます。

外記節とは江戸時代は貞享のころ(1684年〜1687年)、薩摩外記藤原直政という人が語り出した江戸浄瑠璃の一種です。

「外記節三部作」は、一時期廃れてしまっていた外記節を、十代目杵屋六左衛門が復活させることを目的として作ったものです。

長唄「傀儡師(かいらいし)」歌詞

浮世の業や西の海、汐の蛭子の里広く、国々修業の傀儡師、連に離れて雪の下、椿にならふ青柳の、雫もかるき春雨に、かくやをかぶり通るにぞ

塀搆へなる窓の内、呼かけられて床しくも、立止れば麗しき、女中の声にて傀儡師、一替舞わせと望まれし、詞の下より取敢ず、声悪しければ箱鼓、

拍子とりどり人形を数多出してそれそれと、唄ひけるこそ可笑けれ

小倉の野辺の一本薄は、いつか穂に出て尾花と成らば、露がねたまん恋草の、積りつもりて足曳の、山猫の尾のながながと、一人かも寐ん淋しさに

夕べ迎へし花嫁様は、鎌もよく切千草も靡く、心よさそなかみさまじや、おらが女房を誉るぢやないが、物もよく縫機も織り候、

綾や錦や金爛緞子折々事のむつ言に、三人持ちし子宝の、総領息子は大様にて、父の前でも懐手、物を言ふても返事せず、二番息子は背高く、

三番息子は徒にて、わるさ盛りの六つ七つ、中でいとしき血のあまり、肩に打乗つて都の名所、廻れ廻れ風車、張子鞨鼓や振太鼓、手に持ち遊べさ

花が見たくば吉野へござれ、今はよし野の花盛、よいさよいさ、花盛花笠きつれしゃなしゃなと

此はしたは吸筒を、袂に巻てから玉や、つい明らけき天津空、桜曇に今日の日も日も

呉羽綾羽のとりどりに、呉羽綾羽の御貢物、納まる御代こそ目出度けれ箱の内にぞおさめける

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