「日本舞踊文化振興議員連盟」設立に思う「期待と責任」
自民党有志議員による「日本舞踊文化振興議員連盟」が結成されました。
2021年4月12日に設立総会が行われ、歌舞伎役者の松本幸四郎さんらが出席されたそうです。
日本舞踊関係者の高齢化や人口減少を受け、日本舞踊の継承や普及に向けて支援することが目的で、若手舞踊家の育成や日本舞踊の重要無形文化財への総合指定を目指すとのことです。
外部リンク:自民有志が「日本舞踊振興議連」を設立(産経新聞)
今日は、このような組織が誕生したことについて、これからの「期待と責任」というテーマで私の考えを書きたいと思います。
画像は筆者作成
「和牛商品券」でわかった政治の力
新型コロナウィルスの影響下で昨年話題になった「和牛商品券」騒動。私はあのとき、あらためて政治に影響力を持つ強さを感じました。
「利権だ」「なぜ和牛だけ」など猛批判があり実現はしませんでしたし、私も反対の立場でした。
しかし、食肉業界や農林族議員を単純に批判すればいいのか、というそんなに単純なことでもありません。
この提案が生まれた構造はなんでしょうか。
この提案は、食肉業界や、そこから大なり小なり支援を受けている政治家からすれば当然のことで、業界を守る、仕事を守る、ひいては自分の仲間や家族を守るための当然の行動とも言えます。
「和牛商品券」が話題に上ること自体、食肉業界がそれだけ強い発言力を持っていること、そこに至るまで政治に影響力を持つための行動と努力をしてきたということに他ならないのです。
「GOTOトラベル」などもしかりです。
伝統文化の継承・発展に「期待」
伝統文化の継承には一定の保護を必要とします。社会は猛スピードで変化するのに対し、伝統文化が変化するスピードは遅いからです。そのような社会の中で成長し発展していくのは容易ではありません。
そこに金銭的な支援や、重要無形文化財指定などが得られることになれば、日本舞踊の継承・発展に大きく弾みがつきます。
そのためには政治の力を必要とします。その可能性につながるこのたびの組織化は、多くの人の多大なる努力の結晶だと思います。関係者各位に感謝しつつ、私もできることをしていこうと思いました。
税金が投入されるという「責任」
同時に考えておきたいのは、政治による何らかの支援が生まれる(かもしれない)ということは、そこに少なからず税金が投入されるということです。
日本舞踊が「いち経済活動」としてのみ、なされている間は、それにお金を使いたい人だけが使う、ただそれだけです。
しかし税金が使われるとなると、日本舞踊に興味がない人、そもそも知らない人、嫌いな人からも、間接的に支援を受けることと同じです。
ただ単に「保護を受けられてよかった」だけではなく、日本舞踊がそれに足るものであり続けること、それ以上の社会貢献をしていくことが今まで以上に必要です。
極端な話、昨年の和牛商品券への猛批判、この刀がこちらへ振りかざされる可能性もある、ということです。
こんなことを文化継承の当事者ではない私が言うのはおこがましいですが、関わるものの一人として、日本舞踊の価値をより高め、日本舞踊に出会って人生が豊かになる人が一人でも増えるように、気持ちを新たにしました。
そして、文化の継承・支援のためにこの組織が成立したように、「コミュニティ」「組織化」はこれから日本舞踊に限らず、伝統文化の継承、発展のためのキーワードになるのではないでしょうか。
私が考えるコミュニティの重要性についてはこちらの記事もお読みいただければと思います。