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清元「折紙(おりがみ)」歌詞と解説

清元「折紙(おりがみ)」歌詞と解説

女性が、子供のころの折り紙遊びを懐かしみながら、空想の世界で折り紙を遊ばせる様子を描いた曲です。

蓮、みずすまし、鶴、亀、お雛様・・・さまざまな折り紙が出てきます。踊り手は次々に変わる折り紙の世界を踊り分けます。

みなさんもぜひ、折り紙遊びをしたころのことを思い出しながら、歌詞を読んでみてください。そして、出てくる折り紙をいくつ見つけられるでしょうか?(最後に出てくる折り紙の一覧があります)

清元「折紙(おりがみ)」解説

折紙の 蓮浮いていく みずすまし

蓮の間を、みずすましが抜けていきます。この冒頭の描写は、主人公の少女時代の思い出と、空想とが織り交ざった世界への導入となっています。

過ぎし日の 幼な心の遊び種 友ときそいて折鶴を
数えならべし夜の夢に
銀の 月より颯つと 流れ降る雪かきらめく群青の 空に飛びう千羽鶴

幼いころ、友達と数を競い合って折った鶴。その夜に見た夢は、流れる雪と見間違えるかのような千羽鶴の群れが、銀色の月が輝く群青の夜空に舞う夢でした。

亀の背にそびゆ 東の海のなか 蓬が島(よもぎがしま)に玲瓏(れいろう)と
響く玉の音匂やかに 仙女は綾羅(りょうら)の袖かえす

不老不死の仙人がいるという、東の海の蓬が島(よもぎがしま)。そこでは美しい玉の音が響き、仙女も美しい衣で舞っています。

「蓬が島」は「蓬莱山(ほうらいさん)」とも言って、亀の背中に乗っているという伝説上の島です。

「玲瓏(れいろう)」は玉の音がさえて鳴る様子。

「綾羅(りょうら)」は、「あやぎぬ」(美しい模様やいろどりを施した絹織物)と「うすぎぬ」(織り目の粗い薄い絹織物。細糸で織った軽い絹織物)のこと。転じて、美しい着物ののことをいいます。

二人して 男雛女雛を折り合いて 朱と緑の相聞こえ
通う心もいつしかに 色 鳥の子(とのこ)に灯し火は
ゆれてときめく恋衣

友達と二人で折った、朱と緑の着物のお内裏様とお雛様は、お互いに心を通じ合わせているかのよう。

鳥の子色に揺らめくともしびの火は、ときめいて揺れる恋心のようです。

「相聞こえ」とは直訳すると「お互いに聞こえる」という意味ですが、少し意味が分かりにくいですね。

「相聞(そうもん)」という言葉があり、こちらは「消息を尋ねあう」という意味で、これが転じ、万葉集の男女の恋の歌は「相聞」「相聞歌」と呼ばれました。このことから、ここではお互いに気持ちを通じ合わせると捉えました。

「鳥の子(とのこ)色」とは、鳥の子の色、つまり「玉子色」のことです。

舟折れば 心を誘う水郷の 朝を涼しく風うけて
うつる帆影は雲浸す

あの娘 棹さしや あやめがまねく 同じ流に咲いた花

舟を折れば、心は美しいあやめが咲く、水郷の街へと遊びます。

兜の鍬形勇ましく 武者ぶり見事や 尻切れの
草履に脛も黒き子が 合戦はててただ一騎
川岸の柳の散る宵を 家路をさして落ちて行く

兜を折れば、合戦ごっこに遊び疲れて家へと帰る男の子が現れます。

かかとが擦り切れた草履(尻切れの草履)、脛まで真っ黒に日焼けした、遊び盛りの男の子です。

供の奴は紺看板 浅黄は派手な色奴
金の袴をはかせば なんと奴大名の仕立て顔

「供の奴」とは、武士に仕えて雑用をした供の者のことです。浅黄色の派手な紙に、金の紙で袴をはかせてやると、大名のように立派な奴さんができました。奴さんも、まんざらでもないようで、すました顔をしています。

「紺看板」とは奴さんなど供の者が着ていた法被などの上着で、紺地に家紋などを染め抜いたものです。

「浅黄」は水色に近い、鮮やかな青色です。藍で染めました。

「奴」はおっちょこちょいだけど、憎めない、愛されるキャラクターとして描かれることが多く、日本舞踊ではこの奴が主人公の長唄「供奴」という演目もあります。

七色の 紙それぞれの様かたち
さて 三方に なつかしき その思いでの数数も
いまはおぼろに 遠き初春

色とりどりの折り紙で、いろんなものを折ってきました。最後に三方を折った女性は、おぼろげになりつつある、懐かしい少女時代に、あらためて思いを馳せるのでした。

三方は神様への捧げものを載せる台。女性の思い出を大切にする気持ちが重ねられているのかもしれません。

出てきた折り紙
蓮、みずすまし、鶴、亀、雛人形、舟、あやめ、兜、奴さん、三方

あなたはいくつ見つけられましたか?

作品情報

作曲者 四世清元梅吉
作詞者 香取仙之助
初演情報 初演年月:1961年(昭和三十六年)
初演者:花柳寿南海(としなみ) 新作舞踊研究会

清元「折紙(おりがみ)」歌詞

折紙の 蓮浮いていく みずすまし
過ぎし日の 幼な心の遊び種 友ときそいて折鶴を
数えならべし夜の夢に
銀の 月より颯つと 流れ降る雪かきらめく群青の 空に飛びう千羽鶴

亀の背にそびゆ 東の海のなか 蓬が島(よもぎがしま)に玲瓏(れいろう)と
響く玉の音匂やかに 仙女は綾羅(りょうら)の袖かえす

二人して 男雛女雛を折り合いて 朱と緑の相聞こえ
通う心もいつしかに 色 鳥の子(とのこ)に灯し火は
ゆれてときめく恋衣

舟折れば 心を誘う水郷の 朝を涼しく風うけて
うつる帆影は雲浸す

あの娘 棹さしや あやめがまねく 同じ流に咲いた花

兜の鍬形勇ましく 武者ぶり見事や 尻切れの
草履に脛も黒き子が 合戦はててただ一騎
川岸の柳の散る宵を 家路をさして落ちて行く

供の奴は紺看板 浅黄は派手な色奴
金の袴をはかせば なんと奴大名の仕立て顔

七色の 紙それぞれの様かたち
さて 三方に なつかしき その思いでの数数も
いまはおぼろに 遠き初春

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