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「余白の美」を海外にも~篠塚瑞桜(ずいおう)京都市上京区今出川~

「余白の美」を海外にも~篠塚瑞桜(ずいおう)京都市上京区今出川~

京都市上京区で「京舞」の教室を開かれている篠塚瑞桜(しのづかずいおう)さんを取材しました。

今出川で日本舞踊教室を持たれているほか、大学で声楽を学ばれた経験や人脈も生かし、国内・海外での公演、ワークショップ開催、オペラ所作指導など多彩にご活躍です。

そんな瑞桜さんの京舞篠塚流との出会い、西洋音楽と日本舞踊の違い、海外公演の思い出、教える上でのこだわりなどを伺いました。

京舞 篠塚流・・・能やお座敷舞の影響を強く受けた上方の舞踊は一般的に「上方舞」や「地唄舞」と呼ばれ、その中でも京都発祥のものを「京舞(きょうまい)」という。篠塚流は振付師であった初代・篠塚文三郎が創流した京舞の流派の一つ。

京都五花街のひとつ先斗町(ぽんとちょう)の第一回「鴨川をどり」の振付や、祇園祭の「小町踊り」でも知られる。

参考記事:上方舞ってなに?特徴や歴史、代表的な演目・流派を解説

篠塚 瑞桜(しのづか ずいおう)プロフィール

京舞篠塚流 6世家元 篠塚梅扇師に師事
同志社女子大学 学芸学部 音楽科 声楽専攻 卒
篠塚流先斗町歌舞練場公演、祇園甲部歌舞練場での舞踊協会「京の会」公演等に出演
2018年より国立文楽劇場小ホールにて「瑞桜会」主催
国内での京舞体験教室やオペラスタジオ所作指導講師、また昨年はオペラでの振付・演出補佐も経験
堺シティオペラ伊公演「蝶々夫人」所作指導、墺・ウィーン公演他、英・ロンドン、仏・パリ、キプロス・リマソル、台北等でのレクチャーやワークショップ
2020年より、現代作品・創作についてはHiro Umetani (梅谷裕子)として活動開始

家元の公演を見て衝撃「こんな世界があるんや!」

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うめざわ

瑞桜さんが日本舞踊を始めたきっかけはなんですか?

篠塚 瑞桜さん

六代目家元が、私の母のお茶の姉妹弟子やったんです。それで私が中学のころ、篠塚流の公演のチケットをいただいたのがきっかけです。国立文楽劇場やったと思うんですけど、日本舞踊を見たのは記憶の中では初めてです。

「こんな世界があるんや!」って衝撃を受けました。

篠塚 瑞桜さん

家元も、よかったらお稽古どう?って母に声をかけてくれてはったみたいで、ひとりで稽古場に通える高校生になってからお稽古を始めました。

6歳の6月にお稽古を始める方が多いので、高校から始めた私と比べると周りはすごいなって、思う人ばっかりでしたけど、楽しく通ってました。

「余白」の面白さに目覚める

即成院さん舞奉納

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うめざわ

人と比べると、日本舞踊を始めるのが遅めだった瑞桜さんですが、今は舞(まい)を仕事にされています。

それはやはり、大きな決断だったのでしょうか?

篠塚 瑞桜さん

何より好きやったというのが一番ですね。

でも最初から先生になりたい!って思ってたわけでもなくて。大学では声楽を勉強しており、歌のほうが楽しくて、そのころは舞は趣味で、という感じやったんです。

20代のころは日本舞踊の中でも、地唄舞もやるけど、常磐津で元気に!とか、越後獅子でたくさん動いて・・・みたいな踊りのほうが好きで。

そう話す瑞桜さんだが、徐々に地唄舞に対する考えが変わってきたそうだ。

常磐津「京人形」左甚五郎(篠塚瑞桜)京人形(篠塚桜實)

篠塚 瑞桜さん

30代になって、地唄舞は種類が違うんだな、って思うようになりました。

篠塚流は地唄舞の中でも、割合シンプルで、手数が少なくて、間を埋める余白がたくさんあるんです。

舞を舞うときの自分の状況、体調、思っていること、いる場所、お客さんの空気なんかですごく変わるんですね。これは面白いなあ、と思うようになりました。

瞑想やヨガを行っているときの、自分を見つめる感じとかに近いと思いました。

教えるようになったきっかけには家庭の事情もあったそうだ。

即成院さん舞奉納

篠塚 瑞桜さん

大阪の南河内に住んでたんですけど、京都の母方の祖母の家に引っ越すという話があって、稽古にも通いやすいし、いまの場所へ越してきました。

大叔母のお世話もあるので、あまり外に出歩くことも難しくなってきたときに、何人か教えてほしいという人があって、自分を鍛える意味でもやってみようと思いまして、教え始めました。

篠塚 瑞桜さん

教えてみると、どうやって教えようとか、こう教えたら、思ってもないボールが相手から返ってきた!とか、お茶の言葉が出てきたからお茶も勉強してみようかとか、刺激があって面白いんですね。

そのころからSNSの普及もあって、昔の友人から声をかけられたり、オペラを勉強してたご縁で、所作指導で呼んでもらったり、いろんな方に声をかけていただいて、つながって、いろんなことやらせてもらってますね。

西洋音楽を学んだからこそわかる、日本舞踊の魅力

長唄「黒髪」撮影:奥脇孝一

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うめざわ

西洋音楽も、日本舞踊も両方を学ばれている瑞桜さんからみて、西洋音楽と日本舞踊との違い、日本舞踊でしかできない表現は何だと思われますか?

篠塚 瑞桜さん

西洋の音楽は、リズムは何拍子とかって五線譜でかっちり決まってますよね。

地唄舞は、ある程度決めるってことはあるにしても、間、余白が多いし、スピードだってだいぶ変わります。ここの間は合わせる、というのはあるにしても、ここからそこへ至るまでをどうするかは、舞手の解釈とか、自由裁量、お客さんとのやり取りでだいぶん変わる。そういうところですかね。

篠塚 瑞桜さん

俳句とかでも、細かいことは言わないじゃないですか。チェーホフやベケットの本で細かくト書きがあってとかとは違う。クリアにしすぎることで逆にできなくなることもあります。1+1=2ではなくて、解釈が10通りあっても、どれもいい。

それが面白いし、噛めば噛むほどおいしいみたいなもの(笑)

教える立場としては、小さい子は特に、この面白さを伝えることは難しいですけどね。

海外でも公演やワークショップを行う瑞桜さん。

日本舞踊を英語で説明する際にも、「間」「余白」の説明は難しいと感じるそうだ。

イギリス・ロンドン大学SOAS D.ヒューズ教授と共に京舞レクチャーとワークショップ(2018年)

イギリス・シェフィールドにてワークショップ子どもクラス

台湾・台北(タイペイ)公演時のチラシ

心に残る舞台:初めてづくしのイタリア

どこも思い出深いですが、クロトーネというイタリアの街で、「現代音楽家の夕べ」というイベントに出していただいたときが一番強烈でしたね。

アジア人が初めて足を踏み入れたくらいの、こじんまりした町で、南イタリアの空気も初めてでしたし、現代音楽に振りを付けたのも初めてでしたし、衣裳や化粧や日本髪を全部ひとりで支度したもの初めてでした。

修道院に宿泊して夜稽古して・・・着物で出歩けば、子どもたちが何人も後ろにくっついて来たり、おじいさんに声をかけられたり。公演の時も、終わったらみなさんが口々に声をかけてこられ、とてもフレンドリーでした。

教えるにあたって「まず楽しめること」そして「自分が学び続けること」

子供のお弟子さんたち(大津市伝統芸能会館 京舞篠塚流春の会)

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うめざわ

教える難しさの話が出ましたが、教える中でこだわっていることはありますか?

篠塚 瑞桜さん

まずは楽しめること。

音楽でも、着物でも、舞でも、友達と逢えるとかなんでもいいんですけど、稽古場へきて、それが楽しかったと感じられることが一番ですね。

篠塚 瑞桜さん

私は、合わない人に無理に続けて、とは思いません。

とりあえずやってみたら、というスタンスですけど、やるからには、楽しかったな、将来なにかしらでも、やっててよかったな、って感じてもらえるようにと思いますね。

篠塚 瑞桜さん

京舞の先生になりたいですって言うてくれてる子もいるんです。

でも現実問題として、将来、先生の仕事があるのか、舞の仕事があるのか、それは今の私たちにかかってると思うので「自分が成長する努力をし続けること」が重要だと思っています。

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うめざわ

先生になりたいと言ってくれる子がいるなんて嬉しいことですね。その子によい形でバトンを渡してあげたいですね。

新型コロナウィルスの影響は・・・

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うめざわ

新型コロナウィルスの影響がまだまだ大きいですが、取り組まれていることなどはありますか?

篠塚 瑞桜さん

オンライン稽古もやっていますよ。コロナの影響が出始めてから新しく入った横浜のお弟子さんがいはるんです。

60歳を超えてらっしゃって、日本舞踊はもちろん、和のお稽古事も初めてだったんですが、リモートでお稽古してみたいと連絡をくださいました。やってみたらすごく面白いと言ってくださっています。

台北でもお稽古してはる方もいらっしゃいます。

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うめざわ

オンラインでのお稽古は経験者でないと難しいという方が多い中、初めての方がオンラインでお稽古を続けられているというのは、すごいですね!

篠塚 瑞桜さん

いまはコロナで話が止まってしまっているんですが、台湾でもお稽古を始めます。日式住宅といって、日本統治時代の立派な建物があって、そこでお披露目をする予定だったんですよ。

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うめざわ

本当に、早くコロナが収束して、ぞんぶんに活動ができるようになってほしいですね!

これから日本舞踊を始める人へメッセージ

京舞を楽しむ会 出演生徒とともに

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うめざわ

最後に、これから日本舞踊を始めようかなと思っている人にメッセージをお願いします。

篠塚 瑞桜さん

自分が元気で時間もある時というのは、人生でも限られています。

先ほどの60歳の方の例もありますから、今いくつであっても、一回、見るだけでもいいし、やってみるでもいいし、日本舞踊に触れてみてほしいと思います!

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うめざわ

瑞桜さんの教室なら、日本舞踊を通じて海外へ行けるチャンスもありそうですね!

本日は貴重なお話をありがとうございました!

篠塚瑞桜さんの日本舞踊教室の情報はこちら

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